(PR)
医療レポート インフルエンザ 特徴と症状 取材協力/前川内科クリニック
毎年、本紙元旦号で身近な病気や治療法などについてお話を聞いている消化器内科専門医の前川公男院長。今年は、全国的な規模で周期的な流行を繰り返すA型インフルエンザについて話を聞いた。
―A型インフルエンザとはどのようなものですか?
A型インフルエンザウイルスには2種類のトゲがあり、鼻や口から侵入すると、まずスパイク状のトゲ(HAタンパク)で喉、鼻の粘膜に付着します。その後、細胞内に侵入し、自分の遺伝子を放出します。2年前にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザもこのA型の仲間です。
このウイルスは細胞内で次々とコピーを作っていきます。1個の細胞で役目を果たしたウイルスはもう1つのトゲ(NAタンパク)で他の細胞に移り同じ作用をくり返します。この段階で気道の粘膜が破壊されるため、セキやクシャミがでます。これは気道の細胞が持っている絨毛が外敵を追い払おうとする反応です。破壊された細胞の表面を保護するために鼻水が出ます。約2日間でここまで進み、潜伏期といいます。
―潜伏期後の症状とは?
体内に侵入したインフルエンザウイルスが病原体を発揮するには、百万個単位の増殖したウイルスが必要です。そこで百万個に達した辺りから喉の痛みや発熱などの症状が加わります。これは体内にある防衛軍(免疫による感染防御機能)と病原性を持つウイルスとの戦いを意味します。この体内防衛軍の活動は3日後辺りから始まり、5日目辺りでウイルスを駆逐し症状も改善していきます。
成人の場合、免疫機能が十分あるため、通常は約1週間で高熱、全身倦怠等が自然に治癒していきます。正常な免疫力があれば、ウイルスは鼻や喉の症状にとどまり、全身に広がることはありません。しかし、免疫機能が充分でない乳幼児や機能が衰えている高齢者や病人ではウイルスを排除する働きよりも増殖速度が上回り、さらにノドや気管支の粘膜を痛めつけます。普段は鼻腔や喉に常在している黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などが活発化し、肺炎の併発につながります。さらに、肺に混合感染がある場合は感染菌が作り出す酵素が、肺内でのインフルエンザウイルスのHAタンパクを活性化させウイルスをさらに増殖させます。従って、小児や高齢者、慢性疾患治療中の人などは、インフルエンザの流行時期には厳重な注意が必要です。
―他に警戒すべき点は?
免疫力が未発達の幼少児では二次性肺炎とともに、最も警戒しなければならないのがインフルエンザ脳症です。インフルエンザ脳症は罹患後1〜2日以内に発病し、高熱と共に10分以上続く強いけいれんや、昏睡などの意識障害をともなう病気です。インフルエンザが疑われる小児の場合、けいれんやうわごとをくり返すような症状が見られるときは、脳症に対する早期治療が重要となります。直ちに救急病院で手当をうけられることをお勧めします。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>