横浜市は10月1日から、中重度の要介護者や認知症高齢者の在宅生活を支える「訪問介護・看護」の新サービスを市内全区で開始した。高齢者人口が増え続ける中、充実した在宅サービスを推進するのが目的だ。一方、サービス普及に向けた周知不足も課題となっている。
これは今年4月の介護保険法改正に伴い、各自治体が事業者と連携し、「定期巡回・随時対応型訪問介護サービス」を行うもの。従来、受けるサービスの種類や回数で決まっていた利用者の自己負担額は、新サービスでは月額定額制に(要介護度により異なる)。一日複数回の定期訪問のほか、緊急時には専用端末を通じ、24時間訪問対応も受けられる。病院や老人ホームなどの「施設」ではなく、住み慣れた「自宅」で介護生活を送りやすくする狙いだ。 横浜市の統計調査では、市内65歳以上の高齢者人口は2030年に106万人に達する。また、2010年度の「横浜市高齢者実態調査」によると要介護者の72・3%が「在宅介護サービスを使い、自宅で暮らし続けたい」と答えている。
各区1事業者を指定
このような背景を踏まえ市は今年度、公募した事業者の中から各区に1事業者を指定し、新サービスに取り組む。1事業者に限定したことに関して市担当者は「(新サービス普及に向け)事業者が安定したサービスを提供するには、利用者数の確保が必要となるため」としている。市は今後の利用者増加を見込み、14年度までに、さらに各区1事業者を増やす計画だ。
サービス利用者37人
新サービスの利用者は10月15日現在、全区で37人。市は「現状、周知が行き届いていない。今後、広報などで案内をする」と話す。8月から先行して新サービスを行う、「ジャパンケア横浜長津田」(緑区)の利用者は5人。従来のサービスから3人が切り替えた。「利用者にとって、どちらのサービスが合うのか知るためにも周知が必要」と同社の佐川二三恵さんは話した。
また、従来のサービス利用者からは「(新サービスは)知らなかった。ケアマネなどが代わり、介護プランを作り直すのは大変。今は従来のままでいい」という声もある。新サービス指定事業所以外で、従来のサービスを利用している人が新サービスを受けるには、事業所を代えることが必要。慣れたケアマネージャーやヘルパーなどが代わってしまうのも課題となる。
同サービスに関する問い合わせは、市健康福祉局介護事業指導課(【電話】045・671・3466)へ。
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