金沢スポーツクラブのカヌースクール校長で、普及に尽力する 尾喜 純一さん 磯子区森在住 70歳
カヌーを区民のスポーツに
〇…「カヌー競技を金沢区民のスポーツとして定着させたい」と金沢スポーツクラブ内にカヌー部門を立ち上げたのは8年前のこと。3年後には野島青少年研修センターの協力を得て、野島を拠点としカヌースクールを設立した。毎年数回、体験講習会でカヌーの普及に努めている。今年9月と10月の体験キャンプには定員60人に対し、倍以上の応募があったという。「毎年参加者は増えてきた。青森でカーリングが盛んなように、『金沢区といえばカヌー』と言われるようにしたい」と穏やかにほほ笑む。
〇…関東学院大学の学生時代に開催された東京オリンピックで、カヌーが初めて種目として加わった。同大学は「この機会にわが校からもオリンピック選手を」とカヌー部を新設。早速、「先人がいないし、珍しい」と興味をひかれて入部した。オリンピック出場こそ叶わなかったが、漕いでいる時の海面を滑る爽快感に、すぐに夢中になった。以来50年、人生は常にカヌーと共にある。
〇…大学卒業後は、神奈川県カヌー協会で普及活動や大会運営に関わってきた。カヌー教室の開催地は、もっぱら相模湖や丹沢。「でも遠いから教室に人がきても続ける人が少ない。もっと街中でやりたいとずっと思っていた」と振り返る。学生時代に慣れ親しんだ金沢区には海も川もあり、人も多く住む。「こういう環境を生かさない手はないと思う」と目を輝かせる。
〇…「ここから五輪選手が育ってくれれば」と練習に励む子どもを見守る視線は親のように温かい。関東学大のカヌー部に入り、選手として活躍し、やがては指導者になって戻ってくる――そんな海外クラブのような地元に根ざした組織が理想だ。「カヌーを通じて社会のルールやマナーを学び、きちんとした社会人に成長してほしい」と願う。カヌー艇の不足や置き場所の確保など課題は多いが、パドルを漕ぐ手に力を込め前進を続ける。
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