7月20日から金美・会員展を開催する金沢区美術協会の会長を務める 羽佐間 英二さん 能見台在住 86歳
美のときめきを追って
○…会長を務める金沢美術協会は設立から8年が過ぎた。優秀な会員も増え、会としての底力もついてきた今、区内の老人福祉施設に、会員の作品を無償で貸し出すことを決めた。「地域社会に目に見える形で貢献しなければ」との思いを行動に移す。「今までの活動は、対象が絵画愛好家だけだった。絵を利用者に楽しんでいただき、少しでも癒しになれば」と話す。
○…50歳を過ぎ仕事に余裕も生まれた頃、先輩からの勧めで再び絵筆を握った。「当初はスケッチ程度。気軽なもんです」。その数年後、夫婦で訪れたイギリスの風景に心を奪われた。中世の面影や豊かな自然を前に、「本格的に水彩画を描いてみよう」と心に決めた。「イギリスは水彩画発祥の地。特にコッツウォルズ地方の村々は良いモチーフ」。それから毎年イギリスにショートステイし、風景画を学んだ。これまで訪れた村や町は50カ所。「時間に取り残されたかのような田舎町は優しくて純粋で水彩の画趣に満ちている」と愛情を込める。
○…淡い色彩と透明感、温かなタッチが織りなす絵は、日本を描いてもどこか異国情緒が漂う。女性ファンが多いのもうなずける。前川隆敏氏、常世隆氏に師事したが、「すぐに自分の画風ができちゃった」といたずらっぽく笑う。自然を構成する色や形、光や影を自分の感性で受け止め表現。「技法にこだわるのは好きじゃない。美しくできた時はときめいて、また描きたくなる」。その情熱は色あせることがない。
○…夫婦そろって金沢区美術協会の会員。2011年には油絵を描く妻と一緒に「水と油の夫婦展」を開催した。スケッチ旅行も一緒にいく仲の良さだ。86歳になった今でも年に40、50点の作品は完成させるという。「ずっと変わらないね。医者がおかしいっていうから、どこかおかしいかも」とユーモアたっぷり。「あとは生前遺作展をいつやるか、考えているんです」
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