NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトの代表理事を務める 田川 尚登さん 横浜市在勤 62歳
ホスピスは「娘の生きた証」
○…1998年に6歳の次女を失ってから何かに導かれるように、難病の子どもと家族の支援を続けてきた。その中で見てきたのは、後悔を抱えて立ち直れない多くの家族たち。「難病の子どもの終末期は、その家族にとってもすごく大事。楽しい思い出があるかないかで、その後の人生が大きく変わってくる」。そんな思いで準備を進めてきたこどもホスピスが今年11月、金沢区六浦東でついに開設される。
○…頭痛が続き四肢に力が入ってない娘を病院に連れて行くと、脳幹部に腫瘍が見つかりその日に「余命半年」と告げられた。「元気だし食欲もある。到底受け入れられなかった」。入院中の娘が泣き叫ぶ中、帰宅する日々。「面会時間の終わりは病院中がそんな様子でした」と当時を振り返る。できることは、「可能な限り一緒に過ごすこと」だけだった。
○…亡くなった後も、「精一杯親として向き合えたのか」という思いは残った。そんな中、日増しに大きくなっていたのは、入院時に娘や自分を支えてくれた県立こども医療センター(南区)のスタッフへの感謝の念。「何か支援ができないか」と2003年にNPO法人スマイルオブキッズを設立。会社勤めを続けながら、遊具の寄贈やチャリティコンサートなどの活動に邁進した。
○…こどもホスピス設立の話が出たときは、「そんな無謀なことをやるべきじゃない」など反対意見もあった。それでも設立準備委員会を立ち上げて資金を募ると共感を呼び、賛同する人がどんどん増えていった。出会いや偶然が重なり実現に向け進んできた軌跡を「運命のよう」と形容する。「(ホスピスは)娘の生きた証。誰が訪ねてきても温かさが感じられる空気間の施設にしたい」と話した。
|
<PR>
|
<PR>