金沢動物園で傷病鳥獣の保護に取り組む 渡辺 海咲さん 横浜市旭区在住 27歳
「野生動物の魅力伝えたい」
○…釣り糸に絡まったサギやトラバサミで傷ついたタヌキ―金沢動物園に運ばれる年間約400の傷病鳥獣を保護し、野生に戻せる状態までケアする。「たくさんの命をいっぺんに抱えている。やらなきゃという気持ち」。使命感を胸に命と向き合い、3年目を迎えた。
○…川崎市で過ごした子ども時代、毎月のように母と出かけたのは動物園や水族館。そこで見た海獣ショーのスタッフに心を奪われた。「笑顔が輝いていた。夢を与えられる仕事はかっこいいと思った」。憧れは目標に変わり、大学では海洋生物を専攻。しかし実習先の動物園で展示方法に感銘を受けた。寝る、食べる、動物の行動には野生で暮らすための意味がある―。「それだけで面白い。飼育の中で知り得た動物の魅力を伝えたい」。それでこそ来園者を楽しませられるのでは。「飼育だけがやりたいのではない」と気付いた。
○…大学卒業後、2年間ズーラシア(旭区)で「教育普及」に奔走した。園内や近隣の学校で動物の生態や魅力を伝える。小学校の1クラスと3カ月をかけて学んだこともあった。「渡辺さん、渡辺さんって質問してくれることが増えた。飼育員になりたい子も出てきて。心に残せるんだと実感した」とにっこり。”伝える”下地を培ってきた。
○…「人間の生活の影響で傷つく動物が大半」。年数回、傷病鳥獣の現状を伝えている。一緒にステージに立つのは実際に保護し、飼育する動物たち。「飼育しながら得た実感や愛情がこもっていればなお伝わる。私がしたかったこと」と充実感をにじませる。4月からは月1回のガイドも新たに始めた。休日は同じく動物園に勤める夫と「動物園に行っちゃう」と笑う。旅先でも展示方法やガイドをチェックしてしまうほど熱心だ。「子どもから見て輝く大人になりたい」と初心に立ち戻る。「動物園は夢のある場所。地域の笑顔につながると自信を持てる」。とびきりの笑顔を見せた。
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