金沢区医師会の会長に就任した 若栗 直子さん 富岡西在住 51歳
言葉聞き、心に寄り添う
○…女性初の金沢区医師会会長が誕生した。「普段から相談を受けやすい。女性なりの視点で意見を拾い上げたい」と穏やかに笑う。加速する高齢化社会に対応し在宅医療にも力を注いていく。「ケアマネージャーや看護師など、様々な職種の連携も綿密にとっていければ」。相手の立場を理解し、会話を重ねていきたい。
○…幼少期は両親が開業した釜利谷の歯科医院で過ごすことが多かった。「患者さんとのやり取りをそばで聞き、近所の大人に遊んでもらうことも」。現在、初診や年上の患者と自然に接することができるのはこの経験があってこそだ。「病気を治すのはほぼ本人の力。だけど、それを手助けできれば」。直に手を施して治療ができる魅力を感じ外科の道へ。大学病院で経験を積んだ。15年前、出産を機に「環境の良い地元で」と富岡西に医院を開いた。
○…「医者は知識だけあってもだめ。患者さんへの対応がすごく大事」と話す。周りが良かれと思っても本人の意思はどうか、決めつけないで対応する。「一人一人の言葉を聞く」。研修医時代から培ってきた信条だ。もう一つ、経験に基づくのが患者に敬意を払うこと。医師になり5年が経った頃、意識が朦朧とし会話もできない状態の患者を担当することがあった。家族も諦めていたが「手を握ったら握り返してくれたんです」。反応がないように見えても分かっている――以来、病状や患者の心を傷つけるかもしれない説明は病室の外で行っている。
○…自身同様、幼い頃から医院に通い母の背中を見て育った娘が医療の道を志す。「嬉しかった。これから話ができるようになるかな」と母親の顔を覗かせる。「15年も経つとまだ小さかった子が成長していたり、家族で使ってくれたり。医者要らずが良いが、つながりが嬉しい」と笑顔を見せる。10年ほど前からは高齢者施設で診察を続ける。やはり重視するのは対話。患者の安心を追求していく。
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