神奈川県薬物乱用防止指導員協議会(薬防協)の港南支部長として薬物の危険を訴える 石井 惠さん 日野南在住 73歳
「立ち直れる」と信じ、見守りを
○…薬防協、保護司、こうなん防犯寺子屋隊と地域で多くの顔を持つ。薬防協の活動を始めたのは2005年。保護司のメンバーから声をかけられたのがきっかけだった。「やらなければと思った」。小学校の教員をしていた現役時代、児童が起こしたシンナー事件に直面した。「薬物に1度かかわってしまうと正常に戻るのは難しい。どれだけ怖いかを知り、まずは絶対に手を出してはいけないことを伝えなければ」。副支部長を経て昨年、支部長に就任した。
○…港南支部は12人で活動し、年に数回の街頭キャンペーンや小中学生を対象にした「薬物乱用防止教室」、自己啓発研修を行っている。「創意工夫が大好き。1つでも良いから、去年と同じ繰り返しはしたくない」。キャンペーンでは「どうしたらもっとPRできるか」と考え、中学生に参加してもらうように。「薬物に手を出してしまう一番の原因はストレス。心楽に暮らせて、1人ひとりが自分らしく生きられる社会になればいい」
○…大学を卒業後、横浜市の教員に。教員時代は地域の少年補導員も務め、さまざまな少年問題と向き合い続けてきた。罪を犯し、施設から出てきた少年が言った一言が忘れられない。「『先生、世の中は冷たいよ』って。彼は立ち直ろうと努めていたけれど、周囲から受け入れてもらえず苦しんでいた」。罪を犯しても、居場所と地域の支えで「立ち直れる」と信じる。「まずは楽しく生活できる場所があれば、犯罪や非行にはつながらない。そのためには大人の見守りが必要」
○…悩みやストレスを感じたときは、ウォーキングや三浦半島を大好きなドライブで1周するなどして、思考を整理。愛車で東北地方をひたすら走り続けたこともある。「実はスカイラインのファンで」とうれしそうに目を細め、少年のような表情。たくましいハンドリングと冒険心で、アクセルを踏む。
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