4月から港南消防署の署長に就任した 秋元 雅彦さん 鎌倉市在住 58歳
最前線で市民に向き合う
○…港南区に勤務するのは初めて。「商業地と住宅地に分かれている街」という印象を持った。「坂のある地域は多いが、火災の被害が拡大しやすい木造住宅密集地域がないことは少し安心した」とも。「消防署は市民と直に向き合う最前線にいる。署員たちは相手の立場で向き合ってほしい」と厳しい表情も見せる。一方で区民に対しての要望もある。「大地震は必ず来る。家具転倒防止など、日頃から十分な備えをして、自助・共助の意識で自分の身を守ってほしい」
○…友人に誘われ、大学卒業後に市消防局に入局。消防車を運転したく、入局してすぐに免許を取得した。しかし3年で当直からの異動が決定。以来、「火災予防課畑」を歩み続けてきた。中でも危険物指導の部署は長く、本部の危険物課(現・保安課)に勤務していた30代半ば、危険物保安技術協会に2年間派遣され、各地の貯油施設を調査・指導する職務で全国を回り続けた。「毎日違う都道府県に出張していた。大変だったけれど、さまざまな地域の消防士たちと出会えたことは、今思えば自分自身の財産になった」と振り返る。
○…「昔はがむしゃらで、企業にも厳しく指導していたと思う」。しかし、40代で責任ある立場に就くと、仕事への見方に変化が出てきた。ルールを守るだけではなく、相手の立場を考えるようになった。ポリシーは「営業の心を忘れない。市民の皆様はお客様」。長年勤務した火災予防課で培われた精神だ。「消防署は市民に近い組織だからこそ、意識を変えなければいけない」と気を引き締める。
○…新人の頃に出場した消防救助技術訓練会では、痩せた体格から救助される「溺れ役」に抜擢。チームは全国大会で優勝した。「日本一の溺れ役なんだ」と笑う。じっとしていられない性格。最近の趣味は全国各地の炭坑めぐりで、話題が上ると、熱くなり、止まらなくなる。厳しさと明るさでチームをまとめていく。
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