町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の46
地獄の釜の蓋
参議院選挙が近づいてきた。そんな時期が迫ると、しばしば何とも消化しづらい正論で諭されることがある。「投票は国民の義務」という言葉。言われずとも分かっているが、今の政治家には必ず裏があるように思えてならない。そんな気持ちがしょせん選挙権の放棄につながる。こう言えば聞こえは良いが、つまりは興味なし。物知りどころか世間知らず。誤認、誤答、言い間違い、あり得ない戦争発言、果てはその場限りのマイクパフォーマンス。選挙によって選ばれた代表様たちのそんな報道ばかりだから、投票所に足が向かない人が増えるのも仕方がないかもしれない。
鬼門は丑寅(概ね北東)にあり、そこから鬼つまり災いがやってくるから、それを食い止めるために四神獣のひとつ「玄武」(体が亀で頭が龍の神獣)の像や絵を飾る。民間では破魔矢を鬼門に向けておいたりもする。また、ジゴクノカマノフタという草がある。魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく地獄を釜に見立てて蓋(ふた)をしてしまうというのが由来。これはキランソウの別名で、なんとも恐ろし気な名を付けられたものだが、確かに明るい場所では立ち上がることなく地に張り付いて広がり、蓋をしているようにも見えるが、やぶの中や日陰では太陽光を得るために立ち上がるから、必ず釜の蓋のようになるとは限らない。キランソウはシソ科のジュウニヒトエやニシキゴロモの仲間で、生薬としても利用されてきた歴史がある。ジゴクノカマノフタという別名も、災厄に含まれる病気も地獄から来るものとして考えられていた頃、病気を封じ込める蓋ということから付けられたのだから決して悪い意味ではない。
つい最近、ただバス停に並んでいただけの子どもたちが襲われるという対策のしようがない事件が起きた。古くは秋葉原の事件もそうだが、最近は捕まりたいから殺人をするとか、人を殺してみたかったとか、狂気は理解できない上に防ぐことが難しい。さらには精神疾患であると裁くこともできない。最悪。理不尽。怒りの矛先を向ける相手がない。どうか今回の事件に触発されるようなやからが出ないことを祈るばかり。
災いを封じ込める便利なジゴクノカマノフタがないものだろうか。ついでに議員さんたち全員の信用を失墜させてしまう方々も釜の中へ。よく振り塩して。
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宮司の徒然 其の137町田天満宮 宮司 池田泉12月21日 |