夢の続き 大和南で 強豪 福島・双葉のエース 久保田将光投手
7月10日に開幕する全国高校野球選手権神奈川大会に市内から出場する大和南高校に、野球が出来る喜びを人一倍感じている選手がいる。福島県立双葉高校から4月に転校してきた久保田将光投手(3年)だ。
福島第1原発事故による避難指示区域内にある双葉高は、現在も学校再開のめどすら立っていない。地震直後にグランドで打撃練習をしていた久保田くんは校内にいた生徒全員と高台に上がり難を逃れた。
深夜になりようやく家族と再会できたが、この日から家族や親戚と県内や新潟県などで避難生活を余儀なくされた。2週間にも及ぶ避難生活に「水すら満足に手に入らなかった。正直、野球のことを考える余裕はなかった」という。
姉の大学進学を機に母と姉の3人で横浜市泉区に転居することになった。久保田くんは大和南に転校して、新たな環境で野球を続けることを決めた。
4月8日に初めて大和南の練習に参加。明るい性格もあり、すぐにチームにとけ込んだ。久保田くんは「チームメートがあたたかく迎えてくれたから、思ったより緊張しなかった」とその時を振り返る。初練習の後、安田宙希(ひろき)主将(3年)が家に誘ってくれた。双葉高校野球部のこと、地震の状況、色々な話をしながらお菓子を食べてゲームをした。気遣いが嬉しく「こっちでもやっていけると思った」。
練習ができなかったこともあり最速138Kmだった球速は130Km前半に落ちた。得意だった変化球の制球も乱れ、登板した練習試合では四死球から自滅する苦い思いもした。それでもチームメートは、厳しくもあたたかい激励を飛ばし続けた。4月からここまで10試合に登板し、わずかに1勝。しかし、監督や選手たちの信頼はつかんだ。
夏の大会に向けたベンチ入りメンバーが発表された6月27日に、背番号10番を受け取ることが告げられた。
賀澤進監督は「開幕までの2週間でさらに調子を上げてくれるはず」と期待を寄せる。同校は14日(木)13時半から相模原球場で、古豪・横浜商業との初戦に臨む。
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