静かな日曜日の校舎。3階の音楽室に近づくと、旋律が明瞭になってくる息の合った力強い演奏――。
大和市立大和中学校の吹奏楽部(平石孝太顧問、美根あゆみ部長)が定期演奏会を前にした3月15日、演奏曲目の一つ「吹奏楽のための『民話』」(ジム・アンディ・コウディル作曲)の合同リハーサルを同校で行った。ピンと張りつめた空気感のなかで、約80人の部員たちが一心に見つめていたのは、この曲の客演指揮を務める松山益二氏(79)のタクトだ。パートごとの練習を終え通し演奏に入る前に、松山氏が「音楽を楽しみノリましょう。私は皆さんの音楽に合わせてダンスをするだけ」と生徒たちに声をかけると、「はい」という元気な声がいっせいに返ってきた。
大和中の卒業生(3期生)でもある松山氏は、横浜国大学芸学部音楽科を卒業後、音楽教師として1971年に同中に赴任。前年に発足していた吹奏楽クラブから、吹奏楽部を同年に創部し初代顧問に就任した。松山氏は83年に教員を退職後は、コンピューター関連会社の役員等を務め、現在は千葉県在住。音楽活動は続けており、いまも仲間と施設慰問を行っている。
この日のリハーサル見学には、松山氏の教え子である吹奏楽部OBたちも「先生に会いたい」と駆け付けた。深見小学校の藤倉秀明校長もその一人だ。プロの音楽家になった人、親子で同中の吹奏楽部に所属など、吹奏楽部との関わりはそれぞれ色濃い。リハーサル後の交流会では「和中のイチョウのギンナンを拾い、創部間もない頃の楽器購入の足しにした」「松山先生は生徒から大和のベートーヴェンと言われていた」などの秘話も飛び出した。松山氏は「和中に足を運ぶのは30有余年ぶり。吹奏楽の指揮をするのも十数年ぶりだったが、喜びでいっぱいだ。生徒たちの音楽レベルは高くいい音を出している」と感慨深げだった。
同中の「吹奏楽部第22回定期演奏会」は3月28日(土)、大和市生涯学習センターで開催される。午後3時30分開場、4時開演。入場無料。3部構成で第3部4曲目に創部時頃に吹奏楽コンクールでも演奏された『民話』(前出)が松山氏指揮で披露され、現生徒と共にOBも演奏に加わる。
吹奏楽部のOB有志らは現在、「吹奏楽部出身の方、先生方へのメッセージを【メール】brass.y.j.h@gmail.comのアドレスに送ってください」と呼びかけている。
定期演奏会の会場ロビーには、17年度に創立70周年を迎える大和中の音楽に係わるこれまでの歩みや活動もパネル等で紹介される。
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