7月8日に開幕する全国高校野球神奈川大会。県立市ケ尾高校では、OBで22歳の学生監督・本田泰士(たいし)さん=写真=が采配をとる。
前任の長沢弘監督の異動を受け、3年間学生コーチとしてともに指導してきた実績を買われて4月に就任。今の3年生が引退する「今夏まで」限定の監督業だ。現在大学4年生。就職も決まり、監督としては「これが最初で最後」と話す。
部活動インストラクター制度により学生コーチを始めたのは大学1年の時。高校3年間指導を受けた長沢教諭から打診され、二つ返事で引き受けた。週1回の契約だったが「できる限り見たい」と多忙な授業の合間を縫って毎週土日に顔を出し、大学の長期休みには週3〜4日通った。「先輩面するだけのことはしてあげないと」。グラウンドに立つ教諭が複数いたことから、指導者側ではなく選手側に立とうと決めていた。「話がわかり、守ってくれる『いい兄貴分』でいよう」。技術指導はもちろん指導者の意図を選手の立場に立って伝え、解説することに徹した。「来年も続けてくれますか」。選手から慕われ、必要とされることが嬉しかった。翌年、インストラクターの枠が一時他の部活に移り無給となったが、続けることに迷いはなかったという。監督業を見据え単位をしっかり取り、就職活動をしながら向き合ってきた。
高1の時、部活を辞めようと思った。担任で部長だった教諭に告げると「夏の大会を味わってないだろ。2〜3日休んで考えろ」、と引き留められた。気持ちは変わらないと思っていた中、登校中に行きあった同級生の部員に声をかけられた。「風邪治ったの?早く来いよ」。事情を知っていて言ってくれたのだと感じ、続けようか、と思い直した。
その夏の大会は4回戦敗退。スタンドでの応援だったがマウンド、ベンチとのえも言われぬ一体感を肌で感じ、心がすごく動いた、という。「先生が言っていたのはこれか」。もう辞めることはないなと思い、その1年後には副キャプテンに。「そこから監督になるなんて本当に人生わからない」と笑う。継続は財産、宝だと力を込める。「ベスト16」を目標に掲げる選手たちとともに12日、初戦を迎える。
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