▽肉や魚、野菜など、旬の食材が揃う市民の台所が大雄山駅前に再オープンする。小休止していた中心市街地に賑わいが戻る。新たなテナントを迎え、複合施設がさらに発展することを願うばかりだが、今回はその話ではない。南足柄市が誇るべき歴史と文化を話題にしたい。
▽郷土史を調査研究する足柄史談会は、東京タワーが完成した1958(昭和33)年に郷土史家が発足させた文化活動団体だ。史跡探訪や機関誌『史談足柄』の定期発行、歴史講演会の開催など長きにわたり知的活動を続けてきた。神社仏閣や史跡、地域の歴史などひとたび決めたテーマへの取材意欲と団結力から本紙も学びを得ている。
▽今年9月9日に南足柄市は箱根ジオパークに編入した。審査した日本委員会は「世界的な独自の地球科学的位置づけを持てるようになった」と、当市の編入を高く評価した。万葉の頃から人々が往来し地殻変動の痕跡を残すこの地域には、誇るべき語り継ぐべき歴史と文化がある。それを伝えるジオガイドや観光ガイドの存在は極めて重要でベテランに混じり20代、30代の市民が台頭している。そこに将来性を感じる。
▽先日、ジオパークの見どころにもなっている大雄山最乗寺で、初めてジャズライブが開催された。「お寺も今までどおりではだめ」と話す高僧のお話が印象的だった。翌日には文化会館大ホールで富士フイルムのジャズバンドが55周年の記念公演を開き盛況だった。メンバーの平均年齢は65歳以上だというが「60周年に向けさらに頑張る」と満員の観客に誓っていた。
▽財政難による事業縮小や合併など不穏な話題が多い昨今だが、南足柄市にはそこにしかない歴史と文化があり、それを誇り楽しみながら暮らす市民がいる。街づくりにおいてその地域資源に焦点が当たっているのだろうか。医療、健康、福祉、教育、文化、経済、衛生など市の行政はどれも平均点で飛び抜けた印象がない。そのなかで「文化」は異彩を放っている。この10月から小田原市との2市協議が始まり合併を含む新たな自治体の在り方が議論される。南足柄らしさを小田原の人たちに伝え存在感を印象付けてもらいたい。
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