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新春医療レポート 「足を救う」、最後の砦―。 横浜総合病院 創傷ケアセンター
糖尿病や閉塞性動脈硬化症などが原因で、下肢切断を余儀なくされた足潰瘍や壊疽(えそ)などの「慢性創傷」の患者が訪れる「最後の砦―」。鉄町にある医療法人社団緑成会「横浜総合病院(平元周院長)」の創傷ケアセンターは2008年の設立以来、足の切断を宣告された患者を数多く救ってきた。心臓血管外科部長で同センター長の東田隆治メディカルディレクターにセンターの取り組みについて話を聞いた。
「チーム医療」で改善へ導く
米国には医師や歯科医師に加え、足を専門に診る足病医(ポダイアトリスト)と呼ばれる国家資格が存在し、「足の症状・疾病」への重要度がうかがえる。日本において足の慢性創傷を抱える患者は、一般的に皮膚科や整形外科、形成外科などを受診するが、それぞれの科で独自に治療を行っても傷がなかなか治らないケースも少なくない。
そこで同センターでは、難治性の傷に対し、総合的な治療体制を整備している。傷の治療に最も重要な血流を専門とする心臓血管外科の医師をセンター長に置き、整形外科や糖尿病内科、理学療法士、靴装具士などの専門医が連携。米国研修で先進治療を学ぶスタッフがチーム医療で改善に導く。月に一回のカンファレンスでは米国医師からアドバイスを受け、より綿密な治療に取り組む。
治癒率は80%以上
慢性創傷は主に、糖尿病による潰瘍や壊疽のほか、閉塞性動脈疾患や静脈不全による下肢潰瘍、床ずれによる傷があり、同院によると数万人が下肢切断に追い込まれているという。
同院では創傷の面積・深さや性状など細かく測定。足に血液を届ける末梢動脈の疾患を似た病気と区別し虚血重症度の判定も行う。さらに神経障害検査、画像検査を実施し、一人ひとりにあった治療を提案する。
また、治療困難と判断された閉塞性動脈硬化症に伴う下肢潰瘍や静脈不全に伴う下腿潰瘍などのケースでも治療が可能で、治癒率も80%以上。さらに、全国各地から切断を宣告された患者のうち、大切断(足関節より体幹側の切断)を免れた患者の割合も約7割という実績だ。(※右表参照)
糖尿病持ちは要注意
創設以来、6年間の治療患者のうち、半数以上が糖尿病を併発しているデータがある。糖尿病になると微小血管がダメージを受け、感覚が鈍くなる神経障害を発症。しかし、糖尿病の初期は自覚症状に乏しく、足の感覚麻痺から靴ずれや切り傷にも気付かず、細胞壊死を招く場合もあり注意が必要だ。「そのまま放置すると足の切断という最悪のケースになる場合もあります。足先がピリピリ、ジンジンするなどの症状が出たら専門医へ相談することが重要です」とセンター長。
自らの足でしっかりと人生を歩む幸せ―。下肢切断を宣告され絶望の淵にいる患者の心に寄り添い、助ける。創傷ケアチームのスタッフらは患者の足を救うだけでなく、幸せな人生の手助けに尽力している。
「足を救う」。その使命に偽りはなし。
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