10月は乳がんの正しい知識や検診を呼びかけるピンクリボン月間。乳がんは早期に発見できれば治る可能性が高い病気と言われ、検診が非常に重要。本紙では自身のがん経験から創作劇を脚本・演出した鹽野佐和子さんにインタビューを行った。この機会に自分の身体に目を向ける機会にしてみては。
アメリカの大学で演劇を学んだ後、脚本・演出家として活動する港北区在住の鹽野(しおの)佐和子さん。
「ある日お風呂に入ってマッサージをしていたら、『あれ』って。本当に突然。しこりがあって驚きました」。病院に行くと「ステージ3Cの乳がん」と診断された。
「好きな肌、私は胸を切りたくない」
「『ステージ3Cだと標準治療や再建にはあたらない』と話すお医者さんもいて、どう治療したらいいのか迷いました。私は肌の色も白くて、胸は唯一好きなパーツ。全摘は絶対に勘弁してほしかったので手術はしなくていいと考えていました」。しかしその後、乳房の切除と再建を同時に行える主治医と出会い手術を行った。「全摘出する手術の後、リンパ節への転移も見つかり、33回も放射線治療を行いました。1年半位経って皮膚も元に戻ってきました」
これからのことを考える中で乳がん治療について振り返った鹽野さん。「色んな治療があって難しいなって思ったんです。ステージやタイプによって組み合わせが全く違ってパズルみたい。悩んだし、葛藤もあったけど楽しんだ自分もいて、私は脚本家で演出家なので、それを形にしたいという気持ちが出てきた時にタイトルが思いついたんです」
早速脚本に取り掛かった。主人公は40代の女性。「見た人が乳がんの治療について少しでもわかってくれたら」と複雑な治療の選択肢や病気のリアルをメディカル・ラブコメディとして描いた。「医者と患者の出会いはとても重要。会った日に信じて命を預けるって普通はありえない。でもそれを直観的に決めないといけない。ある種、恋愛に似ていると感じたんです」
今年3月に緑区で創作劇『ブレストウォーズ 恋する標準治療!〜女の胸はときめくためにある。』を上演し大好評を博した。10月にはアメリカでも上映される。
「乳がんと分かった時は絶望でした。ステージも進み手遅れになる一歩手前でしたから。けど、芝居をやろうと決意してからは、笑顔でやってきましたね。手を差し伸べてもらったり、お願いして道を作ってもらったりしながら本当に一歩一歩。次のステップは登った先の足元に見えてくるものだから、これからも一段抜かしせず一歩一歩進んできたいですね」
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