3月11日に発生した東日本大震災―。港南区でも大きな揺れを観測して局所的な停電が発生したほか、駅は帰宅困難者で大混雑するなど、未曾有の大地震による影響は震源から遠く離れた地でも大きいものだった。今後も起こりうる大地震に対し、今回の経験をどう活かせるか。震災後の区内の状況を追った。
区は地震発生後、区庁舎内に災害対策本部を設置。区内のライフラインなどの被害について情報収集を行いながら、上大岡駅職員と連携して帰宅困難者の人数を随時確認し、発生約2時間後にアクセスの良さを考慮して港南中学校を受け入れ先として開放することを決定。チラシ配布により情報通知を行った。
さらにウィリング横浜、港南スポーツセンターも追加開放し、3施設の利用者は計800人。混雑状況にあわせて段階的に施設を開放するといった区の対応が臨機応変であり、今回は目立った混乱はなかった。
一方、港南中は地域の防災拠点でもある。被害程度によっては、帰宅困難者の利用と重複する可能性もあったが、区は「防災拠点はその地域の居住者に限ったものでない」と説明する。ただし、受け入れ人数が許容を超えることも考えられ、「近隣の拠点と連携をとりあうなど、あらゆる状況を想定して考えていかなければならない」と話す。
また、食品やガソリンの買い占めを控えるとともに、各家庭で非常用の備蓄を用意しておくよう促している。
自主的な交通整理も
区内では地震による停電で信号も停止した。これを受け、港南署は信号機対策プロジェクトチームを編成。主要な交差点で交通整理にあたった。その後、14日から始まった計画停電も含め、21日時点で停電の影響による交通事故は発生していないという。
また、地震発生直後、区内では地域住民らが自主的に交通整理を行うなど、互いに協力しあう場面も見られた。同署は「地震の混乱による事件の発生もなく、区民は冷静に対応し、秩序も保たれている」と話す一方、全国的に横行している義援金詐欺やデマ情報に注意を呼びかけている。
区内で今回の地震による負傷者は報告されていない。しかし港南消防署は大きな揺れを感じた場合の行動について、「机の下は安全とされているが、その周囲の状況にもよる。固定観念にとらわれず、日頃からその場にあった安全の確保を考えておくべき」と話していた。
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