医療チームの経験を次に 被災地派遣が終了 南部病院も活躍
東日本大震災を受け、横浜市は医療チームを編成して宮城県気仙沼市に派遣していたが、現地医療体制の回復を踏まえ、6月30日に活動を終了した。港南区からは済生会横浜市南部病院の医師らが医療チームに参加。今後はこの経験をいかに活かしていくか注目される。
3月16日、市は被災地の中でも医療支援が遅れていると判断した気仙沼市に医療チームを派遣することを決定。17日には横浜市大病院の医療従事者で結成した第1次派遣隊が出発した。
市は以後も市大病院や市立病院の医療従事者で派遣を続けたが、3月下旬に活動は長期に及ぶと判断して体制を見直すことに。1カ所の病院から1度に人数を確保する難しさもあり、市は地域中核病院や災害医療拠点病院などに参加を呼びかけ、複数の医療機関による混成チームも交えて派遣を続けることに決めた。
1チームは医師、看護師、薬剤師、事務の4人から6人で編成。現場状況を常に把握するため、全チームに市職員を加えたことが特徴。行政主導の医療チームは珍しく、気仙沼市に派遣された全国の医療チーム25隊の中では横浜市のみで、他は学会主導や病院単体からの参加だった。市では平成7年の阪神・淡路大震災でも医療チームを派遣しているが、今回のような混成チームを含めた体制は初めて。健康福祉局救急・災害医療課の山田裕之課長は効率的で有効と評価しており、災害時のモデルケースとしていく考えだという。
今回、医療チームは3月17日から6月30日まで全31隊が派遣され、市内16医療機関、165人が参加した。山田課長は派遣された医療従事者や市職員が現場を知り、被災地で経験を積めたことも大きな成果とし、「今後の防災体制に活かせるのでは」と話している。
「横浜が被災したら」
南部病院は6月19日から25日まで第30次派遣隊として葛西路(みち)医師と佐々木悦子看護師、小野由加里看護師の3人を単独チームとして派遣。葛西医師は「避難所で慢性疾患やストレスケアの対応をした」と活動を振り返り、「もし、横浜が被災したらと考えた。良い経験を積ませてもらった」と感想を語った。南部病院は5月にも市の医療チームとして同様の派遣をしているほか、4月には済生会として宮城県の南三陸町に7回に渡って医療従事者を派遣している。南部病院経営企画課は医療従事者の派遣は当然とした上で、「今まで震災の経験がなかった。災害医療拠点病院として一層現実の対応を考えていかなければ」と話し、貴重な経験を活かしたいと述べていた。
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