震災がれき 受け入れ表明も課題残す 処理枠組み固まらず
政府は3月23日、横浜市など3県5政令市に、東日本大震災で発生したがれきの受け入れに関する要請文を送付した。林文子市長はすでに受け入れの方針を表明しているが、国が求める「早期の処理」を実現するには、多くの課題をクリアする必要がありそうだ。
政府が横浜市、川崎市、相模原市の県内3政令市に受け入れを要請したのは、岩手県大船渡市、陸前高田市などで発生した木屑などがれき12万1千トン。林市長は3月7日の定例記者会見で「皆様に安全だとご理解いただければ、被災地のためにもがれきの処理を早くさせていただきたい」と述べるなど、基本的に受け入れの方針を示している。
現在、国、県、3市が検討している処理の流れは、3市でがれきを焼却処理した後、県が横須賀市芦名地区に所有する産業廃棄物最終処分場に埋め立てる、というもの。しかし同処分場へのがれき受け入れを巡っては、処分場造成時に県と地元が「受け入れは県内の廃棄物に限る」と取り決めた経緯もあり、住民が反対を表明している。早期に地元の理解が得られるかは不透明な状況だ。市資源循環局は「市の最終処分場(南本牧)は余裕がなく、現状、横浜市単独での受け入れは考えていない。焼却から埋め立てまでの枠組みが決まらなければ、具体的な検討もできない」と話す。
「がれきから放射性物質が出るのでは」という不安も根強い。横浜港運協会は2月20日、がれき受け入れに関する考え方を表明し、「埋め立て物の放射性基準値は100ベクレル/kg以下」「焼却処理はしない」などを「条件」として上げた。同協会関係者は「原発事故後の諸外国による日本忌避の動きは今も続いている」として「国際戦略港・横浜のブランドを守るためには、受け入れに慎重にならざるを得ない」とする。
横浜市では昨年9月、比較的高い放射性物質が検出された下水汚泥焼却灰を、南本牧の最終処分場に埋め立てる方針を表明したところ、港湾関係者や地域住民からの反対にあい、埋め立てを「凍結」した経緯がある。処理の流れそのものは違うものの、市としては関係者への説明にも慎重を期したい考えだ。
黒岩祐治県知事と3市の代表は3月6日、首相官邸を訪れ、野田佳彦総理に対し、がれき受け入れに関する安全基準の明確化や処理に関わる費用負担についての要望を行った。市では「被災地の復興のためにも早期に受け入れたい」とするものの、難しい判断を迫られることになりそうだ。
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