対等な目線で更生支え 小原さんが県民功労者に
2013年度の神奈川県県民功労者が先日発表され、港南区からは保護司の小原(おはら)敏彦さん(75)が唯一受賞した。6月3日に県庁本庁舎で実施された表彰式で、黒岩祐治県知事から表彰状を授与された小原さんは「保護司の活動を評価してもらえた。うれしい」と喜びを語っている。
同表彰は公共の福祉に貢献し、その業績が特に優れた人を広く顕彰する県の最高表彰。今回は県内で39人、3団体が受賞した。
小原さんは保護観察対象者の更生援護活動と犯罪予防活動に取り組み、社会福祉の向上に尽力したとして今回の受賞に至った。
保護司の仕事
保護司は法務大臣が委嘱をした更生保護のボランティアで、任期は2年。犯罪や非行に走り、刑務所から仮釈放、または少年院から仮退院の許可を受けた人や、裁判所で保護観察付執行猶予を受けた人、家庭裁判所で保護観察処分を受けた未成年者など、保護観察となった人に対し、面接を実施するのが大きな仕事だ。面接は対象者にもよるが、比較的短くて数カ月程度、長くて5年以上の保護観察期間中に月2、3回程度、1回30分から1時間ほど行い、生活状況を調査することや保護観察中の遵守事項を守るように指導し、生活相談なども含め、社会復帰への手助けを行う。また、刑務所や少年院に入っている人の引受人などと出所後の生活環境等の調整を行うほか、地域での犯罪予防の啓発活動なども行う。
「自立させることが使命」
地域貢献の一環として1989年に保護司となり、25年目を迎えた小原さん。現在は保護観察対象者2名を担当する。今までに担当した対象者は数知れず、過去には殺人を犯した対象者もいたという。しかし、罪状に関わらず、「上からではなく、対等な目線で相手をよく理解してあげなければ、心を開いてもらえない」とし、「更生を目指し、自立させることが保護司としての使命」と説明する。過去には担当した少年が成人し、家族を連れてあいさつに来てくれることもあったと目を細め、やりがいを語るが、一方で再犯もあり、「残念でならない」と振り返る。
対象者の中には薬物乱用経験者も。薬物によって日常生活を営めなくなったケースを間近に見て「薬物乱用は社会復帰の障害になる。絶対に防がなくては」との意を強くし、薬物乱用防止指導員としての活動も開始。現在は神奈川県薬物乱用防止指導員協議会の会長としても活躍中だ。
保護司としても港南区をまとめる港南保護司会の会長を務める。現在、区の保護司は高齢化が進み、定数42人に対し36人と定数割れの状況が続く。責任の大きさや面会など拘束時間の長さで保護司離れが進むが、小原さんは「社会として罪を犯した人を受け入れていかなければ」と語り、保護司が活動しやすい環境の整備に力を入れ、活動のアピールにも力を入れている。
保護司としての定年まで残り2年。小原さんは「後進に経験を伝えながら、集大成として頑張っていきたい」と受賞を機に改めて意欲を語っている。
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