2月の「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家対策法)一部施行を受け横浜市は、総合的な空き家対策を推進するため、不動産、法務、建築などの専門家6団体と連携する協定を3月末に締結した。この協定に基づき各団体が窓口を整備することで、空き家所有者がより相談しやすい環境を整備することが狙いだ。
国の住宅土地統計調査(2013年)によると、横浜市内には、別荘や賃貸・売却用以外の空き家は、08年と比べ1690戸増の5万2590戸で、全住宅の約3%にあたる。
空き家は、所有者特定が難しく、倒壊、放火、不法投棄などの課題がある。所有者としては、複雑な権利関係や解体費用の負担、解体後に高くなる固定資産税の問題があり、対応が容易に進まないのが現状だ。
6団体と協定
このような現状を踏まえ市は、所有者が抱える様々な課題に総合的に対応できるよう、県宅建協会・全日本不動産協会横浜支部・横浜弁護士会・県司法書士会・市建築士事務所協会・横浜プランナーズネットワークの専門家6団体と3月末に協定を締結、4月1日から無料で各団体窓口を利用できる環境を整えた。
対応する内容は、売買・賃貸をはじめ、相続や権利関係の整理、紛争の解決、また土地建物の相続登記や成年後見、建物の構造や地域での活用など多岐にわたる。市は現在、窓口一覧を掲載したチラシなどで、周知に力を入れている。
そのほかにも、例えば空き家の周辺住民から区役所にゴミ問題の相談が寄せられた場合、担当の資源循環局を紹介するなど、部局横断的な連携体制を強化。建築局企画課では「ワンストップ窓口なども検討したが、まずは既存部署の連携で対応していく」と話している。
「特定」指定に課題も
空き家対策法で倒壊の危険性など著しい問題があると定義付けられた「特定空家等」。その指定により、取り壊しや修繕について市による指導、勧告、命令、さらに代執行が可能になる(5月の全施行後)。また、固定資産税の軽減がなくなり税額は6倍に。このような制約が課される「特定」の指定については、市が行うため、その判定の透明性が求められる。
不動産コンサルタントでNPO法人まなぶ相続=中区=の伊藤明彦理事長(48)は、「特定空家の指定基準を明文化しないと不公平が生じる危険性がある」と指摘する。一方で同法については、「抑止力として所有者が管理、売却を考える機会創出につながるのでは」と話している。
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