2021年1月以降の水銀製品の製造や輸出入を国際的に禁止する「水俣条約」の発効を受けて、横浜市が水銀ランプを使用している道路照明灯のLED化を本格化する。今年度から2カ年で約1万6000灯を交換する計画で、条約による市民生活への影響を抑える狙いだ。
国内では水俣病の教訓から、水銀添加製品の含有量低減などが進められてきた。水俣条約は世界規模の汚染を防ぎ、健康や自然環境を保護するため昨年8月に発効。21年以降も水銀ランプを利用できるが、製造や輸出入が禁止になり、入手困難になるとみられている。
市道路局施設課によると、市では幹線道路や交差点での夜間の視認性を確保するため、水銀灯やナトリウム灯など約6万1000灯の道路照明灯を設けている。6年前からLED照明を導入し、約3500灯の水銀灯を切り替えた。しかし、現在でも42%(約2万6000灯)に水銀ランプが使われており、市では道路管理上支障をきたす恐れがあるとして、水俣条約を契機にLED化を加速させることを決めた。
電力削減で環境貢献
交換対象は、器具や寸法が一定規格の「一般型水銀灯」(約1万6000灯)。10年間のリース契約でLED照明を確保し、保守業者が9月以降に順次交換する。完了後のリース代は年間5800万円ほどかかる見通しだが、LED化で電気料金が年間約2・7億円削減できると想定している。同課職員は「消費電力と二酸化炭素排出量を減らすことで、環境未来都市としての取り組みにも寄与したい」と話す。
商業地や観光地の道路に設けている特別な形状の「特注型水銀灯」(約1万灯)も、来年度までのLED化を目指す方針としている。
公園や港湾にも
市内の公園には約9000灯の水銀灯があり、市では水俣条約を受けて20年度末までに水銀灯に代わる照明器具への更新を計画している。また、港湾関係の道路に設けられている約1000灯についても、来年度末までにLED化する予定。
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