矢部八幡宮獅子舞保存会の会長を務める 鈴木 昭男さん 矢部町在住 73歳
地域に継承 450年の伝統
○…市の指定無形民俗文化財に指定されている箭幹(やがら)八幡宮の獅子舞に携わったのは、10年ほど前から。父が体調を崩したのをきっかけに、生まれ育った矢部町に戻った。町内会長を務めていた当時、保存会の活動が下火になっていると相談を受け、「代々世話になってきたから」と唄を担当するように。「親父もずっと(保存会で)唄をやっていたからね。60代から上(の会員)は、ほぼみんな幼馴染みなんだよ」
○…450年続く獅子舞は、演奏部分を合わせると40分もの長さだ。大人用だと2kgにもなる獅子頭を付けた3人と能面を付けた1人が舞う。伝承を支える会員は現在、小学4年生から90歳手前のベテランまで総勢40人ほど。そのうち約半数が月2回、1時間半ほど練習を積む。「子どものうちは体が小さいから、どうしても手足の動きが早くなってしまう」。動きの大きな舞は大人ならではだという。
○…「踊りと違って特に教わることはない。先輩に合わせて見よう見まねで覚えるもの」という唄や笛もまた、踊りと呼吸を合わせるなど要領をつかむには、3年ほどを要するという。「大事なのは(伝わっていることを)極力変えないようにすること」
○…代々集落に住む者だけで伝承してきた獅子舞も、昭和38年、市の無形文化財指定を機に、「保存会」が発足。神輿を担ぐなど、祭の形は少しずつ変化。ここ10年ほどは、人口が増え、新たに越してきた住民も積極的に参加するようになった。30代〜50代の現役世代は不足しているものの、同会は、10代〜30代まで4チームの舞い手が控える。「神社の祭りで奉納舞を見て、かっこいいと思ってくれているのかもね。ありがたいよ」。3人の孫は「まだ(獅子舞には)早い。でも、2人目は笛をやりたがっているらしい」とほほ笑む。「(活動を)やっている方が身体にいいみたい。体力が続く限り、やるよ」と張りのある声で笑った。
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