第88回国展・写真の部でニコン賞に輝いた 福嶋 幾男さん 成瀬在住 72歳
人の輪から作品生む
○…「『初出展、初入選、初受賞は珍しい』と言われて、本当にうれしいよ」と笑みがこぼれる。「構図もほかのことも全ていいね」と評価された。題名の『心待ち』は、「ダイレクトに表現するのではなく、『どういう意味だろう』と思ってもらえるよう」に付けた。市内でも写真クラブに所属し、「みんなのアドバイスのおかげ」という。
○…厚木市生まれ。中学3年生の時に町田へ。「転校生だったから、よくからかわれたな」と振り返る。でもその時の仲間たちで「ミニミニの会」を結成し、今でも交流が続いている。「昭和32年3年2組だから『ミニミニ』」と笑う。その仲間たちが今回の国展への出展を提案してくれた。「『写真撮るならこの場所がいいぞ』なんて教えてくれてね」と話し、「本当にいい仲間なんだ」としみじみ話す。「勉強より体を動かす方が好きだったな」と振り返る。学生時代は卓球や剣道、相撲などに熱中した。
○…卒業後、東急ストアに入社。有志たちと剣道部を立ち上げ、稽古に熱中した。「活気のある時でね。とても忙しかった。子どもと遊んだことが無かったよ」という。「でも1週間に1回はゴルフに行っていたかな」と笑う。ベストスコアは90ぐらい。「今はまったくクラブを握っていないから、まったくだめ」。奥さんとは職場結婚。奥さんの仕事が終わるまで待って、家に送ったことなど顔を赤らめて話す。52歳の時にサービス業を立ち上げ独立。新たな人生を歩み出した。
○…写真を始めたのは60歳ごろから。奥さんの影響を受け、ファインダーを覗き始めた。「写真を始めるとね、仲間がいっぱいできるんだよ」と輪が広がったことを喜ぶ。「写真をもっと追究したい。国展にも2回、3回と出せたら」と抱負を語る。奥さんとは今でも写真を撮りに出かける。夜中に家を出て、早朝の静まり返った風景を切り取る。「人の輪をもっと広げて、いい写真を撮りたいね」
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