撮り溜めた1970年代の地元写真を「ぽっぽ町田」で展示する 渋谷 雅男さん 森野在住 79歳
「その一瞬」を切り取り残す
○…「街の移り変りがよく分かるよね」。「ぽっぽ町田」で開催中の写真展に自身が撮り溜めた作品30点が飾られている。1970年代を中心に町田市内の懐かしい風物が約40cm四方に切り取られ、そこにある。「ほんのごく一部だけどね。年代もエリアも広げたら限りなくあるし、まだ整理していないものもたくさんある」
○…9人兄弟の5番目に生まれ79年間、森野の地で暮らしている。「当たり前だけど、この辺りもだいぶ変わったよね」。幼少期、周りは畑や野原だらけ。兄弟や近所のお兄ちゃんたちとチャンバラや手づくりバットで野球をして遊んだ。カメラへの興味は中学生になってから。雑誌へ投稿した写真が見事入選。「『庭のにわとり』だったかな」と笑う。以来、自己流で現像技術を覚え、学業を終え家業の農家を手伝いながらも、常にカメラに触れていた。30歳の時、写真学校へ入学し、本格的に写真を学ぶ。そして卒業後自宅に写真スタジオを開設。事業は時流に乗り盛況だった。
○…音楽を好む。「クラシックから演歌まで何でも。自分が演奏したり歌うのじゃなくて、聴く専門だけど」と笑顔。水墨画にもはまった。一本の筆で墨の濃淡を出して表現するそれは、「写真と似ているよね」。しかし年4回の出品は「本業の写真が疎かになってしまう」と、今は一旦休憩している。
○…16年前に最愛の奥さんを病気で亡くす。それを機にスタジオを畳んだ。しかし撮影は辞めなかった。「人が集まれるように」とスタジオ跡をギャラリーに改装。好きな音楽を流している。「写団まちだ」という写真クラブも結成した。今はふた月に一度の定例会を楽しみにしている。「みんなで近所を回ったり、電車で撮影場所に向かうんだ。年を取ると、何かないとなかなか外出しなくなる。そうすると老けちゃうよね、やっぱり」。これからの人生も写真に捧げるつもりだ。自身の生きがいのため、カメラをぶら下げ、今日も街へ。
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