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町田万葉散歩【8】 「忠生公園の梅」沢野ひとし

掲載号:2018年2月22日号

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 早春の花といえば梅である。万葉時代に中国へ渡った僧侶や遣唐使によって、梅の樹木が持ち帰られた。

 当時の万葉人が梅に心を奪われたのは、この甘い香りにあった。春の始まりを告げる梅の花は控えめに凛とした風情がある。

 二月初旬に生まれた妻は梅に対して異常とも思えるほど関心を示している。花をめで香りを堪能し、市内にある梅の名所にも詳しい。

 まだ寒さの残る時期の蝋梅からはじまり、白梅、春の暖かさのまっさかりの紅梅と鳥が蜜を求めて飛び渡るかのように自転車で駈けずり回っている。

 娘や息子の孫が梅の季節の頃に家にやってくると、全員そろって妻の推薦する忠生公園に行く。多摩丘陵の典型的な谷戸の地形の公園で奥深い。しかも幼い子どもたちも走り回っても安心できる環境である。

 梅の花の下に行くと、両手を広げ「春の匂い。幸せの香り」といつもいつも同じことを口にする。

 二人の子の結婚までの紆余曲折の流れに、ずいぶん心を痛めていた妻は、それだけに孫たちの元気な姿を見る眼差しは優しい。

 妻は梅の下にて不意に歌った。



 銀(しろがね)も 金(くがね)も玉も 何せむ に

 優(まさ)れる宝(たから) 子にしかめや も

山上憶良

(巻五―八〇三)



 銀も金も珠(たま)も尊い宝ですけれど、子ども以上に尊い宝がありましょうか。

 親子の人情を歌った憶良七十四歳の名歌である。子を愛する親心を歌ったものとして、一番口ずさんでこられた。



 妻は梅の花の下で飛び跳ね、輪になっている四人の子を涙目になって見つめている。
 

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