町田市立博物館より42 戯画の名手 歌川国芳ってすごい 学芸員 今井 圭介
ギョロリと睨むまなこに歪んだ口元、背を屈め、手をつきだすこの人物。その恐ろしげな顔は見るものの目を釘づけにしてしまうことでしょう。「あぁ、なんてこわい形相だ」思わずそうつぶやかずにはいられません。
でも待って!視線をそらさず、目を凝らしてみてください。あぐらをかいた太い鼻、眉がしらを寄せたいびつな額、すべてひとがなりすましているのがお分かりですか。
そう、この人物は大勢のひとが集められ描かれているのです。これは戯画・風刺画とされる浮世絵の中の「寄せ絵」といわれるものです。作者の歌川(一勇斎)国芳は戯画・風刺画の名手と評された絵師でした。初代歌川豊国の門をくぐり「武者絵の国芳」として本格的に浮世絵界に登場してきた国芳は風景画や美人画などあらゆるジャンルに筆をふるいました。中でも個性を発揮させたのが戯画・風刺画でした。当館所蔵の作品は「のらくろ」や「蛸の八っちゃん」などで知られる漫画家の田河水泡さんより寄贈されたもので、当館の所蔵品の中でも人気の高い一点です。
現在、開催中の「町田市立博物館最終展」で展示中ですので、ぜひ実物をご覧にお越しください。
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宮司の徒然 其の137町田天満宮 宮司 池田泉12月21日 |
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