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町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の57

掲載号:2020年4月23日号

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自己責任

 自粛と注意喚起、不安に包まれている現在。スーパーシュート、スーパースプレッダー、クラスター、パンデミック等々、いちいち横文字がうっとうしい。一時は五輪開催の可否で騒いでいたが、今やスポーツよりも命だ。命あっての物種、死んだらスポーツも生活もあったものではない。そんな中、自粛要請が出されても遊びで外出している若者へのインタビューに腹立たしく感じることがしばしば。「自己責任ですから」という発言。なんて愚かな言葉だろう。そもそも自己責任とは、他者に影響せず自分だけで処理できることを言う。今回の感染症ではそうはいかない。もはや自分が感染している未発症者だと仮定して行動することが寛容だ。自己責任と発言した人が感染すれば入院して治療も行われるし、家族や関係者の命を脅かすことになるのだから、到底自己完結できるものではない。

 一方、こんな時にわざわざ「中国ウイルス」と呼んで不穏な空気を醸したリーダーは、秋の選挙に向けて手のひらを返して融和ムードに切り替えたりと落ち着かない。その動向にわが国のリーダーはなびく傾向が強いことは周知の通り。残念ながらわが国は正義を振りかざすパフォーマンスの裏で、上手にごまをすらなければならい定めを背負ってしまっている。ただしリーダーたちの小競り合いとは別に、わが国と中国の庶民レベルでは、互いの状況に合わせてマスクなどの支援をして助け合っている。どうかくだらない小競り合いで庶民をあおることはやめてほしい。

 今年も桜が満開になり、春を告げる草花が次々に咲き、私の花壇でも白雪芥子(シラユキゲシ)=写真左=とヒメリュウキンカ=同右=がひっそり咲いた。不穏な春のストレスを癒してくれたのも束の間、時ならぬ本当の白雪で驚かされている。白雪芥子は中国から、ヒメリュウキンカはヨーロッパやシベリアから渡ってきた、いや渡らせられた外来植物だが、主張が弱く、かれんで地味だから、野生化して日本の風土になじんでいる。ほとんどの植物は基本自己責任で生きている。芽吹き、成長し、仲間を増やし、枯れて土にかえる。種を守り繁栄させるという生物の本能だけに留まらず、俗にいう煩悩だらけの人間は、もはや自己責任を全うできない生き物になっている。せめて人類の中の先進国というくくりの連帯責任として、地球を元通りにする責務を全うしてはどうだろう。グローバル化を推進してきた国々故に、あらゆるウイルスもグローバルに共有しているのは必然。地球から痛いしっぺ返しをもらっているようにも感じる。

 良いも悪いも取り込んできた日本、島国であっても今更鎖国なんてできっこない。薬やワクチンができるまでは、いつどこで感染するのかわからないのだから長期の自粛の日々を覚悟しなければならない。自己責任ではなく、今は国民全ての連帯責任として戦う時。
 

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