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町田 人物風土記

公開日:2021.04.01

4月5日(月)まで町田パリオで木版画展を開く
庄司 光里(みさと)さん
成瀬在住 46歳 

旅する気分を味わって

 ○…伝統木版の手法を用い、和紙やバレンなど昔ながらの素材を使って一版彫りという新しい版画スタイルが持ち味。水彩の多色刷りはどこか懐かしい雰囲気を醸し出す。それは幼少の記憶であったり、いつか見た思い出の風景かもしれない。「自粛が続く中、絵を見て旅する気分を味わってもらえたら」と11歳で移り住んだ町田で開く個展への思いを語る。

 ○…小さなころは木に登り、実を採ったり、自然の中で遊ぶことが多かった。一方で絵を描くことが好きで、幼稚園の年長のときにコンクールで賞をもらった記憶もある。高校で美術部に入ると、そこで生涯の恩師に出会う。様ざまな経験をするよう助言され、掛け持ちしたダンス部では副部長も務めた。「美術は生きる力。決断力や物を見る目を養いなさい」という恩師の言葉は人生の指針になっている。

 ○…多摩美術大学へ進学したのを機に、油絵から版画の世界へ。色を重ね合わせ、割と自由に作品づくりができる版画に魅力を感じた。同じ大学出身で作家の夫とは互いの作品への感想を話し、ときに助言も求め合える関係。10歳の娘も絵を描くことを好み、二人で並んで作品づくりに没頭することも。「娘は途中で何か言われるのが嫌みたい。完成するまで見せないところは自分に似ているかな」とほほ笑む。

 ○…活動の傍ら、版画の魅力を伝えたいと市内の小学校などで教えている。版画の楽しさは刷り上がったときの感動。版木に紙を重ね、それを開く瞬間にはいつもわくわくと胸が高まる。「子どもたちの作品から力をもらっています」。作品づくりに行き詰ったときは少し足を延ばして出かける。自然の中で優しさに包まれるように、自分の作品が誰かの心のよりどころになれたら嬉しい。

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