町田市が9月から町内会・自治会向けのオンラインデジタルツール「いちのいち」を導入する。回覧板などの情報交換をオンラインでやり取りできるようになるため、市内にある約300の自治会・町内会の内、80団体が利用申請している(8月19日時点)。市は役員の負担を減らし、会員や地域住民への情報発信を活性化することで町内会への加入促進を目指す。
「いちのいち」は、小田急電鉄(株)が提供する自治会専用の登録制SNSサービス。2019年から事業を開始し、これまで行政主導では秦野市や川崎市麻生区で導入されている。自治体からの電子回覧や子ども会・老人会の活動風景の投稿、イベントカレンダーなどの地域情報がスマートフォンやパソコンで閲覧できる。また、有料の追加機能として、防災時に役立つ避難報告システムもあり、非常時に誰がどこの避難所にいるかを把握できる。9月30日(金)までの申込みに限り、申請団体に無料で利用できる。
若い世代の加入促進にも
町内会に未加入でも情報の一部を閲覧することができるため、会員同士のコミュニケーション促進だけでなく、若い世代に町会活動を身近に感じてもらい、会員になってもらうのも狙いの一つ。
利用は個人で登録するものだが、自分が住んでいる地域の町内会が「いちのいち」に利用申請している必要がある。東京都の2022年度実証事業として実施するため、今年度中は利用料無料。2023年以降は料金については調整中だという。なお、通信にかかる費用は個人負担。
町田市では導入に先駆け、説明会を実施。市内で80団体が利用を希望している。
抱える課題全国で類似
小田急電鉄の担当者によると、全国的に町内会・自治会の抱えている課題は似ているという。
会員や役員のなり手不足に加え、コロナ下で回覧板や地域イベントが一時中止。集金もできず、近所の人間関係の希薄化などが一層深まっている現状があるという。「社会インフラを提供する会社として地域コミュニティーの維持・活性化も重要な使命と考えている」と担当者。
町田市町内会・自治会連合会の高橋清人会長は「スマホを持たない人との両立は難しいが、デジタル化の流れは止められない。移行期は紙の回覧板も併用するため当面は負担は増えるが、若い世代から自治会への理解を得るには必要なこと。災害時に役立つことを期待している」と話した。
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