徒然想 連載313 花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
今月は、自戒の念を込めて、江戸代、仙厓義梵(せんがいぎぼん)の『老人六歌仙』から。
六首のうち、後半の三首が警句です。
ききたがる死にとむながる淋しがる 心は曲がる欲深くなる
くどくなる気短かになる愚痴になる 出しゃばりたがる世話やきたがる
又しても同じ話に子を褒める 達者自慢に人はいやがる、です。
このような姿は老人によく見られる傾向ですが、師は、これをあるまじき事として詠んでいます。くどくなったり、愚痴っぽくなることや、達者自慢、子自慢なども若い時にはしなかったこと。それは人に好まれないことがわかっていたから。年と共に我慢ができなくなり、老人特有のわがままが出るからそんなことをしてしまうのでしょう。
師は見事に老人の姿、癖、傾向を捉えており、思わず笑みが込み上げてしまいます。しかし、決して風刺や滑稽を狙っているわけではありません。人が生まれて成長し、やがて老いてゆくことは避けられない自然の成りゆきなのです。
そして師はこの三首で年寄りのわがままを諫めているのです。
老いを受け入れ、仙厓の禅画のような、おおらかで、可愛い老人になりたいものですね。(笑)
桃蹊庵主 合掌
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