徒然想(つれづれそう) 連載 264花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
三月は仲春で寒さと温かさが交互に続き、一日ごとに日が長くなるのが感じられます。
今月は「怠けている人の中で一人努力し、眠っている人の中で一人目覚めつつ、智者は駿馬が駄馬を追いぬくように、足早に走りゆく」です。
出典は、インド、原始経典『ダンパダ』です。
この文言は、不断の努力が大切だと言っています。つまり仏道修行の心得を説いています。真理に基づく、前向きの真摯な生き方を仏道は教えています。
私たち人間は何かと人生の苦、不安に追いまくられて一生を終わります。自分や家族の死、病気、そして人間関係の不和、様々な事業の失敗等々、悩みは尽きません。問題はそうした事態の受けとめ方で、必要以上に不安に振りまわされるのではなく、必ずそれを乗り越える道があり、前向きな生き方があるので、それを身につけよう、と教えています。仏道の世界を知り、それに従って不断の努力をして毎日を生きぬこうとしている人間から見ると、一般の人間は怠けていて、眠っているように思える、とここでは言っています。
桃蹊庵主 合掌
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