タウンニュース・インタビュー『きらり光る人』 訪れた人へ"感動を贈る楽しさ"が活力に まつだ桜まつりで観光ボランティアガイドを務めた 加藤繁男さん（松田町在住）
「あそこが二宮尊徳の生家ですよ」と 松田山から見下ろす足柄平野の景観や歴史の話を交えて説明
自分が持っている知識を活かし、地域に訪れる多くの人たちに地域の素晴らしさを伝える観光ボランティアガイド。まつだ桜まつりで観光ボランティアガイドとして活躍した加藤繁男さん（67歳／松田町在住）は年齢を感じさせないほど活き活きと、楽しそうな笑顔をみせながら観光客に“足柄地域の魅力”を伝えていた。そこで加藤さんに話を伺い、その理由を探ってみた。
愛着のある
地域に恩返しを
サラリーマン時代、工場見学に訪れた人を相手に工場設備などの説明をする仕事に携わっていた加藤さんが観光ボランティアガイドとして活動するようになったのは3年前。もともと地域の河川清掃のボランティアをしていた頃、松田町が初めて観光ボランティアガイド養成講座を開催。「工場見学のガイドをしていた経験もあったし、定年後の健康づくりにもなるかな」と、講座の第1期生として参加したのがきっかけだったという。「いきなり植物学の講義が始まった時は正直まいったけどね」と、ユーモアを絡めてエピソードを話してくれた。
「町民の有志が善意で植えた桜を観に毎年十万、二十万人ものお客さんが来てくれることはすごいこと」。出来る限り自分も協力したいとの思いから、毎年まつだ桜まつりの時期には、都合がつく限り徒歩で松田山を登り、1日約3時間、週に4回程度のペースでガイドとして活動している。「自分ができることで人が喜び、それを見て自分も嬉しくなる。その結果、町や地域が元気になれば」と微笑む。
定年を迎え時間に余裕ができた頃、郷土史に興味を持ち始め、自身が生まれた山北の河村城跡や古戦場跡など近隣の史跡をリュックサックを背に散策するのが楽しみ。「鎌倉時代から交通の要所だったこの地域には、おもしろい歴史がたくさんある」という加藤さんの足柄平野の歴史背景等を折り込んだガイドは好評だ。「お客さんに聞かれたことが勉強するきっかけになったりもするんです」。現在は尊徳記念館で開かれている勉強会や近隣の歴史研究サークルの活動などにも熱を入れている。
「いろいろ調べるようになってわかったのが、松田町には歴史をまとめた文献というものがあまりないということ。大名行列など、昔から続く伝統行事も多くあるのに、そのことを伝える資料が少ない。後世にそういうものを伝えるためにもガイドを通して深く学び、いつかは本を出版してみたい」と話す加藤さん。これから観光ボランティアガイドとして活動していこうという人へのアドバイスをたずねると「大切なのは“おもてなしの心”。人それぞれ知っている知識や得意なことが違うのだから、まずは観光客をもてなす気持ちを持って接すること。学芸員のようにキッチリ説明しなくても、肩ひじを張らずに会話ができればガイドは務まる。お客さんは楽しく話が理解できればいいと思っているのでお客さんが新しいことを知る感動をお手伝いすることが大切」と心構えを教えてくれた。
松田町に移り住み40年。長年住む地域への愛着、「なにか恩返しをしたい」という気持ちを込め、初めて松田町を訪れる観光客を相手に笑顔で地域の魅力を案内をする加藤さんの姿は、とても活き活きとして輝いているように見えた。
「人との出会いも魅力」と笑顔をみせる
観光客をもてなす気持ちでガイドを行う
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