東日本大震災の被災地で倒壊家屋や泥の中などから回収された写真の汚れを落とす作業が、南足柄市の富士フイルム神奈川工場足柄サイトの体育館で同社やグループ会社の社員、OB、家族など有志の手で行われている。
作業は6月25日からスタート。1ヵ月を目安に毎日実施していく予定で、期間中に10万枚の洗浄を目標にしている。現在は宮城県気仙沼市から依頼を受けた写真を処置しており、続けて岩手県釜石市、陸前高田市、宮城県女川町から託された写真にも手を付けていく。同社は「持ち主の分かっていない写真だが、きれいにすれば所有者の手に戻るのでは」と期待を寄せる。
足柄サイトは元々、写真フィルムや印画紙などを作っていた工場で、富士フィルム(株)の中でも技術部門の社員が多い。震災後、同社のコールセンターに津波で汚れてしまった写真の対処法について問合せが相次いで寄せられたこともあり、社員が「どうすればきれいに泥を取り除けるか」、工場に海水や泥などを持ち込んで実験を始めたことがきっかけとなった。写真機材メーカーとしての知見を活かして被災地支援に取り組んで行こうと、4月22日より『写真救済プロジェクト』が、同社イメージング事業部の板橋祐一さんをプロジェクトリーダーに始動した。
盛夏前に1枚でも多く
プロジェクトでは当初、社員が被災地30ヵ所へ赴き、現地で写真洗浄を行っているボランティアに、よりきれいに泥を落とせる手法等をアドバイスしてい た。しかし夏が近づき気温が上昇してきたことで、カビやバクテリアが繁殖して写真の劣化が進んでしまう前に1枚でも多くの写真を救おうと、足柄サイトでの 洗浄ボランティアを買って出た。
作業場となった体育館は、期間中の使用予定を全てキャンセルすることで確保。人員は社員だけでなく、OBや家族にも声をかけた。メンバーの中には、ボランティア休暇をとって都内から駆けつけた社員の姿もある。
作業は5人1組。アルバムや袋などに入った1セットをナンバリングして、写真の内容などをメモする作業から始まる。アルバムから慎重に写真を取り出し、ハ ケや指の腹などを使って水中で数回にわたり丹念に汚れを落としていく。すすいだ後は洗濯ばさみで吊るして1日乾燥させ、先のナンバーごとにフォトアルバム にしまっていく。
板橋リーダーは「写真は二度と同じものを撮ることのできない、かけがえの無いもの。持ち主の手に帰ってこそ意味がある。1枚でも多くの写真が持ち主の元に戻ることを願って取り組みます。被災地のお役に立てれば」と話している。
作業は慎重に進められる
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