今年10月の小田原市と南足柄市による「中心市のあり方」に関する任意協議会の設置を受けて、大井町の間宮恒行町長は12月7日の町議会定例会で「2市協議と同時進行で5町が共同歩調で対応する」ことを強調した。
大井町、開成町、中井町、松田町、山北町の足柄上郡5町は、近接する小田原市と南足柄市による2市任意協議を契機に連携を強めている。各町は特に、これまで築いてきた南足柄市との1市5町による広域連携による行政運営の先行きを懸念している。
ことの始まりは今年1月7日。小田原市と南足柄市の副市長が足柄上郡5町を相次いで訪問し「2月2日に両市長が会見を開き、10月に2市協議を設置する方針を公表する」と伝えた。
これを受けた5町の町長と副町長、広域担当課長は1月14日、大井町役場に集まり今後の対応を協議。「5町共同歩調」と「副町長・広域担当課長による会議の設置」で合意。当時上郡の町村長会長だった開成町役場に事務局を置き、2月8日に第1回会議を開いた。
4月から11月にかけて会議を重ね、【1】「足柄上衛生組合・足柄上地区ごみ処理広域化・斎場事務」、【2】「2市を含む【1】以外の広域連携」、【3】「連携中枢都市圏構想」―の3点を優先事項として情報の共有を図り、影響の検証と対応策の検討を進める方針を確認した。
検討にあたっては「2市協議の結果を待つのではなく同時進行の形をとる」こと「5町による新たな広域連携についても調査・研究する」ことも合わせて確認した。
2市に注文
小田原市内で11月28日に開かれた県西地域2市8町による「神奈川県西部広域行政協議会」で、上郡町村会長の本山博幸松田町長は、【1】1市5町で共同処理する事務事業(足柄上衛生組合)、【2】1市5町で検討を進めているごみ処理広域化―について「仮に2市が合併した場合、どう扱うのかを早めに協議調整する」よう2市側に依頼し、「協議にあたり重要課題に位置づけて十分に検討する」との回答を得たという。
住民生活への影響
足柄上地域の1市5町は一部事務組合「足柄上衛生組合」を構成し、し尿処理と休日休患診療所、介護認定審査会を共同で運営している。し尿処理は、南足柄市班目の足柄衛生センターで1市5町のほか真鶴町と湯河原町のし尿も受け入れて処理している。
処理量のおよそ54%を南足柄市が占めているため、同市が組合を脱退して5町で運営することになれば処理単価の高騰による負担金の増加が懸念される。さらに現在の施設を継続使用するには「地元を含めた調整も必要となる」としている。
組合は2012年度に延命整備計画をまとめ「23年度までの現有施設の安定稼働」を決定。24年度以降のあり方についての検討も始まったばかりだ。
休日急患診療所(開成町吉田島)は、足柄上医師会に運営委託しているが、合併で南足柄市が脱退すれば医師会の行政区域に相違が生じることにもなる。
5町が小田原市と南足柄市との広域連携で実施している事業は32事業あり、このうち南足柄市と5町が構成団体となる事業は22事業。環境、福祉、医療など住民の日常生活を支える事業が数多く含まれている。
「容易ではない」
今月7日の大井町議会で細田勝治議員(2期)の質問に答えた間宮町長は両市の合併について「医師会や商工会など行政と関わる団体の理解を得ることが重要だ。現時点では関心が低いのではないか」と苦言を呈した。「小田原市には橘商工会が現存している。南足柄市との合併でさらに商工会が増える」とも指摘。商工や医療など各分野との地ならしができないと合併は容易ではない」とも述べた。
連携の発展も
本紙の取材に足柄上郡の幹部職員は「2市協議と並走することで5町の足並みは揃っている。5町の間で政策的な連携の発展や事務の効率化が進む可能性もある。観光や定住促進、子育て支援などでの分野で連携が進めば各町の活性化にもつながるのでは」と話した。
次回は1月24日
2市協議会は年明けの1月24日(火)(午後1時半〜小田原市役所)に第3回会議を開催し、最大の懸案となる合併方式と時期のシミュレーションを協議する。
広域連携では上郡5町のほか、下郡3町との課題もあり、合併と並行した協議の進展も焦点となる。
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