山北町向原の滝不動で19日、年中行事の例大祭があった。夕方には南足柄市三竹の御嶽神社から提供を受けた約2千個の竹灯篭に1日限りの火が灯り、あたりに幻想的な光景が広がった。
滝不動には雄滝、雌滝と呼ばれる滝がある。滝の上には、釜の形をした穴があり、砂利で穴の底が覆われている。この砂利を取り除くことは長年「水神の禁制」とされてきたため、その全容は謎のままだ。
織田信長が比叡山を焼き討ちにした1571(元亀2)年、干ばつに困窮する民に請われた熊野からの修験者・了海が、滝の前で雨乞いをすると、7日目に滝が振動して大雨が降った。 雨乞いは、滝の下に「感應殿」と名付けた仮屋を建て、穴底の砂利を取り除き、不動明王の来臨を請うたと伝わる。祈祷のために建てた仮屋は「大聖庵」と改められ厚い信仰を受けたという。庵主となった了海もこの地に暮らし、山での修業を続けたという。
1703(元禄16)年の元禄大地震や1707(宝永4)年の富士山噴火、1734(享保19)年の水害など、滝不動には度重なる災害で受けた被害の様子も刻銘に伝わる。
滝が崩れ本堂や石仏が流されやがて荒廃したが、1793(寛政5)年に再建された本堂が今も残る。
滝不動は、下流域の住民がつくる講が代々守ってきた。かつては近くの寺の協力を得て無病息災を願う護摩焚きも行っていたが、古参の実力者らが次々と他界して活動が衰退していった。
そうしたなか、今年2月の雪害を機に滝周辺の手入れや、年中行事の見直しに向けた機運が高まり、南足柄の御嶽神社で4月に行われる竹灯篭を取り入れる案が持ち上がった。
世話人の内田秀一さん(71)が関係者に事情を話したところ、御嶽神社から2千本の竹灯篭を譲り受け、19日夕方に点灯することになった。「見物客へのお土産に」と、付近で採れるムクロジ(無患子)の実で「お守りストラップ」を作り19日を迎えたという。
滝不動の周辺では、「向原滝ホタルの会」(高杉光男代表)によるホタルの里づくりが8年目を迎え、毎年6月に観賞会を開くなど地域振興に取り組む機運が高まりを見せている。
内田さんは「滝ホタルの活動にも影響を受けた。互いに協力することで向原地区に活気が出ていると思う。来年の例大祭はもう少し頑張って喜んでもらえれば」と話している。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
足柄版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|