▽南足柄市が9月議会に提案した大型直売センター事業に関連する補正予算は、一度立ち止まり考える必要がある。提案された予算案は、9月17日の市議会大型直売交流センター特別委員会で付託審査される。委員会には議長を除く議員15人が所属しているため、ここでの成否が大型直売センターの実現に向けた”試金石”となる。
▽同市の加藤修平市長=1期=は、市の再生に向けた成長戦略に「大型直売交流センターの開設」を掲げて初当選した。2011年の市長選で公約に使われた言葉を借りれば、大型直売センターは「一大観光スポット」になる予定だ。市長は就任からの4年間で実現を目指したが、当初の計画を見直しているため、任期内の開設は不可能となった。任期の残り半年間で基礎部分となる施設と事業の計画をじっくりと固め、来春の市長選挙で改選したうえで、開設を目指すことになる。
▽この事業は、農林水産省の「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」に採択され、2012年度から3年間で約1億6800万円の交付を受ける予定だったが、当初計画した施設用地に見直しをかけたため交付の前提が崩れている。12年度には建設に向けた施設の基本構想と計画を629万円かけて作り発表したが「採算性が検証されないまま事業が進められることを危惧する」と、市議会が特別委員会を設置したことで市長が計画見直しを図った。
▽市長は、就任から3年を費やして練りに練った計画の見直し案を、今年4月から8月にかけて民間の委員からなる建設検討委員会や市議会、市民に説明して意見を求めたが、その基本計画案についていまだに意思決定をしていない。計画案が成案化されないまま新たな補正予算の審議を求められた議会がどのような判断を示すか注目したい。
▽大型直売センターには農業振興や地域活性化への市長の熱意が込められている。それは計画案の随所に感じる。一方で南足柄市の農業に目を向けると、担い手不足による休耕地の増加や農地の違反転用が散在し、所有農地の早期市街化を望む農家も少なくない。市役所ではなく、市長が担う「政治」には、そうした現実とも向き合う責任があるのではないだろうか。
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