店舗を構えず、配送や車での移動販売で野菜を売る八百屋、青果ミコト屋(鈴木鉄平代表・35)=本社・青葉区荏田北=が、初のエッセイ本『旅する八百屋』を刊行した。鈴木さんと荏田高校の同級生、山代徹さん(36)がミコト屋を立ち上げ5年。自然栽培の無農薬野菜を中心に、全国約100軒の生産者と取引を行う。
青果ミコト屋は、おいしい野菜を求めてキャンピングカー「ミコト屋号」で、日本全国の農家や生産現場に足を運ぶ「旅する八百屋」。青葉区内を中心に、近隣顧客へ野菜を届ける定期宅配と全国発送に加え、移動販売で全国各地のマルシェ(市場)やイベントに参加している。そのほか、生産農家を訪ね、収穫した野菜や果物などを参加者と味わうイベントも企画し、生産者と消費者を結びつける活動も行っている。
取引先の生産者は現在、北海道から沖縄、奄美大島まで100軒近い。取り扱う野菜は土が付いていたり、葉っぱに少し虫食いがあったりと不ぞろいの野菜も少なくない。「見た目や形が悪い野菜はおいしくても市場を通すと安くなってしまう。それなら、生産者から直接仕入れ、(作り手の)思いも消費者に届けたい」と鈴木代表は話す。
きっかけは「コラム」
本作りの発端は発送する野菜に同封していた「今週のおやさいレシピ」。農業の話や野菜にまつわる豆知識を紹介する同レシピ内のコラム欄を目にした編集者が興味を示し、鈴木代表に「ミコト屋」の書籍化を勧めたという。企画から1年かけ、食と暮らしをテーマに本づくりをする出版社、アノニマ・スタジオ(東京都)から発行。八百屋になったきっかけや生産者との交流などがつづられている。
地元青葉区を中心に、親や血縁者、知人宅を訪ね野菜を売る「個人宅配」からスタートさせ5年。今では、個人宅と店舗を合わせて200軒以上の顧客に野菜を届けている。全国区に支持を広げたミコト屋に、ラジオ出演や雑誌取材の依頼も。また、今月11日(土)には、湘南 T―SITE蔦屋書店(藤沢市辻堂元町)でトークイベントを開催する。
「将来的には自分たちで作った野菜も販売したい」と2人は夢を語る。『旅する八百屋』はKTC中央出版から発売で1600円(税抜)、全国の書店で取り扱う。
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