さまざまな事情により、家庭で生活することができない子どもたちが入所する児童養護施設の「横浜中里学園」がこのほど開所した。神奈川県立中里学園の廃止を受けて横浜市が新たに整備したもので、民営の施設として新たなスタートを切っている。
児童養護施設とは、親との死別や経済的理由、虐待などにより、家庭で暮らすことができない原則18歳までの子どもを養育する福祉施設。青葉区には、もともと「県立中里学園」があったが、2016年度末をもって閉園している。市はこれを受け、県立中里学園に入所していた子どもに配慮する必要や、市北部エリアの児童養護施設が都筑区の1カ所だけになるという状況を踏まえ、整備を決めた。運営は、児童自立支援施設「横浜家庭学園」を運営する社会福祉法人幼年保護会=保土ケ谷区=が公募により担い、横浜市の認可を受けて開所した。
施設の建物は、県立中里学園の職員宿舎だったみたけ台の敷地を活用し、同学園跡地からほど近い場所に新築。敷地面積は2670・93平方メートルで、子どもたちの生活スペース2棟、地域交流スペースとなるホール1棟の計3棟が建設されている。職員は30人ほどで、子どもの定員は45人。現在入所者11人が生活し、地域の学校などに通っている。
新設された横浜中里学園の園長を務める井苅(いかり)献太さんは「児童養護施設の運営は、法人としての願いだった」と話す。不良行為をした子どもらを入所させ、生活指導などを行う「横浜家庭学園」を運営してきた実績を生かし、「さまざまな子どもたちを受け入れる態勢を整えていきたい」と話している。
「地域交流を大事に」
県立中里学園は、戦後間もない1946年に戦災孤児の保護施設として開所。以来70年にわたり、1500人近くの子どもたちを送り出してきた。近隣住民によるボランティアも盛んで、地域の中での交流を重んじてきた歴史がある。
市ではこれらの経過を踏まえ、県立中里学園の卒園者や地域からのなじみが深いとして「中里」の名を残すことを、新施設の公募段階から決めていた。市の担当者は「培ってきた地域との関係性を大切に、場所は変わっても、卒園者たちの拠りどころになってもらえたら」と期待を寄せる。井苅園長は「県立中里学園の関係者で、職員として残ってくれる人もいる。(卒園者にも)何かあったらいつでもおいで、というスタンスでやっていく」と話す。また「地域行事などに積極的に参加して子どもたちのことを知ってもらい、可愛がってもらえるようにしていきたい」としている。
県立施設は平塚に
県立中里学園は、港南区の知的障害児施設とともにその機能を統合。児童心理治療施設、乳児院、障害児支援施設が一体となった県立子ども自立生活支援センター「きらり」として平塚市に新たに整備されている。学園の跡地は2020年をめどに、新たに特別支援学校が整備される予定だ。
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