埼玉県で7月、盲導犬が何者かに先のとがったもので傷つけられるという事件が発生した。この一件は社会での盲導犬のあり方について、改めて考えるきっかけになっている。
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日本全国で盲導犬は約1000頭。横浜市内でも約30頭が登録されている。市内在住のTさんも盲導犬を利用する一人。現在は日本補助犬協会=旭区=で訓練されたラブラドールレトリバーの「エッシー」が「自分の目の代わり」だ。
埼玉の事件について「起こり得ることだと思う」とTさんは実感を込めて語る。先日、エッシーとバスに乗った際、後から乗車した高齢の女性に「『なんで犬が乗っているんだ。降りろ、降りろ』と言われた」とTさん。過去には、駅のホームで体当たりによって落とされそうになったことも。Tさんは「故意にそうする人や理不尽な人はいる。年齢は関係なく、人柄による」と話す。
一方で、電車通勤をしていた時「なんで満員なのに犬連れてんだよ」と文句を言う高校生たちがいた。だが、毎日のように顔を合わせるようになったある日、Tさんに譲られた席に別の男性が座るのを見て、「おっさん立てよ」と、その高校生たちが注意した。「その気持ちがすごくうれしかった。(障害者や盲導犬に関して)日常になることで理解が生まれる。健常者と障害者が『異空間』ではダメ」
さらに「盲導犬の利用者側も権利だけを主張するのではなく、配慮しなければいけない」とTさん。エッシーには外出時、マナーとして毛が飛ばないよう必ず服を着せている。「盲導犬利用者の中にも、自分勝手な人はいる」と断った上で、「お互いを思いやる優しい気持ちが必要だと思う」と語る。
(つづく)
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