西日本を中心に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨。発生3カ月を迎える今も避難生活を余儀なくされている人は少なくない。被災後の岡山県で業務にあたった青葉警察署の平松聖奈(せな)巡査(23)に取材した(9月14日起稿)。
「被災された方や現地の警察官の話を聞きたい、私にできることをやりたい」。神奈川県で育ち、災害に遭ったことも被災地に行った経験もなかった。「いざというときに出動しなければいけない身。実際の状況や困難を知りたい」。県警本部から派遣者の募集があったとき、迷わず志願した。
生活安全課の女性部隊として神奈川県警からは平松巡査を含め4人の女性警察官を派遣。埼玉、茨城県警との10人のチームで、発災1カ月後の8月5日から14日までの10日間、倉敷市、総社市で活動した。業務は避難所での防犯指導や被災者の相談対応、心のケア。派遣チーム2人に現地の警察官1人の3人1班で避難所を巡回した。5〜6カ所を受け持ち1日3カ所、2日に一度同じ避難所を訪れ、被災者との関係づくりに努めた。
避難所で心の交流
「警察官は入れ替わりで私たちはすでに第5陣。『すぐいなくなるんでしょ』という方ももちろんいて、打ち解けるのに時間がかかった」と平松巡査。傷つけてはいけない、とかける言葉一つひとつを選び、日々通う中で徐々に心を開く人も。名前を覚えて「来る頃だと思ったよ」と言ってくれる人や、プライベートスペースの段ボールベッドに「座って」と招き入れてくれる人もいた。2階まで浸水しベランダの手すりに腰かけて朝まで救助を待ったり、自衛隊のボートを乗り継いで高台で降ろされ、線路の上をたどって歩いたり――。そんな被災経験も聞いた。
ある老夫婦の「カレンダーと地図が手に入らないか」という要望に応えようとあちこちを探し、普段なら簡単なことがなかなか叶わないもどかしさも感じた。観光案内所でもらえた地図を渡してほしいと託すと、「帰る日に『お礼を言いたい』と言づけてくれていて。とても嬉しかった」
避難所では婦人会やチェーン店の炊き出しがあり、共用の冷蔵庫や鍵付きのロッカー、携帯の充電器も用意されていた。定期的に看護師が巡回するなど健康面のケアもあり、大変な状況の中でもこれまでの災害経験が生きているように感じたという。「『戻っても仕事頑張ってね』と、逆に応援してもらった。その気持ちに恥じないよう、今回の経験を生かして普段の業務に邁(まい)進したい」
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