育児と親の介護を同時にしなければならない「ダブルケア」。その実態調査が青葉区内で初めて実施された。調査によると3割強が現在、または過去に直面しており、改めて対策の必要性が浮き彫りとなった。
少子高齢化や晩婚化などの影響から近年増加している「ダブルケア」。従来の社会保障制度では対応できない面や、過重なケア負担などの問題が指摘されている。
2016年の内閣府調査では全国で25万人が直面していると推計されているが、区内で実態調査は行われておらず、今回初めてすすき野地域ケアプラザと青葉区社会福祉協議会、横浜国立大学が共同でアンケートを実施。当事者の悩みを地域課題として捉え直し、福祉政策に役立てるのが目的だ。
アンケートは3月から5月までの期間に実施。すすき野地区と中里地区の大学生以下の子どもを持つ父親と母親を主な対象としたが、インターネットアンケートという特性上、全国から幅広く294件の回答があった。
心身ともに負担
回答者のうち、現在、または過去に直面した経験のある人は102人で、全体の34・7%を占めた。改めてダブルケアの問題が、少数者の問題ではなく、地域や社会において身近な問題であることが明らかになった格好だ。
また、ダブルケア当事者は「精神的にしんどい」が144件、「体力的にしんどい」「子どもの世話を十分にできない」がともに118件、「親/義理の親の世話を十分にできない」が91件と回答しており、心身ともに大きな負担感を感じていることも分かった。加えて、公的な介護サービスについては84・7%、子育て支援サービスについては86・8%が「十分でない」「あまり十分でない」と回答するなど、制度自体の使いにくさや量的不足を指摘する声も多かった。
また、具体的にどのような支援が必要かを問うと、「経験者が相談に乗ってくれる場」「地域のおしゃべり会」「介護と育児のワンストップ窓口」「介護者のための一時休息所」「家庭内役割分担の見直し」「地域全体の理解向上」などが挙がっていた。
地元で報告会
12月9日には同地域ケアプラザで報告会が開催され、約20人が参加した。
会場では報告を受け、当事者から複数の問題を抱え込みながら相談先がない苦しみがあると意見が出ていた。また、参加した区役所職員は、これまでの高齢者介護の中では介護を受ける人が第一だったが、発想を転換して介護する人への支援も大切だと話していた。
同ケアプラザの小薮基司所長は「業務の中でなんとなくダブルケアが増えているという実感はあったが、今回この地域で初めて根拠となる数字が得られたのは大きい」と話す。今後は当事者や支援者が気軽に立ち寄れる居場所づくりなどのほか、育児支援と介護支援が連携できるようなネットワークづくりを進めていくとしている。小薮所長は「このデータを元に支援とは何かを改めて考えていければ」と話していた。
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