1〜3月期 市内業況感、3期ぶり上昇 円安が追い風に
横浜市経済局と横浜商工会議所が先月発表した横浜市景況経営動向調査(13年1―3月期)によると、自社業況が「良い」と回答した割合から「悪い」を差し引いた「自社業況BSI」が3期ぶりに上昇した。円安を追い風に自動車など製造業の輸出が持ち直したほか、海外観光客の増加などで飲食・宿泊業が回復した。一方で、一部の中小企業や地域からは「上昇を実感しない」との声も聞かれるなど、業況感に温度差が生じている。
この調査は市の企業動向・ニーズを把握するため、四半期ごとに年4回実施している。調査対象は市内企業または事業所を置く企業。大企業46社、中堅企業78社、中小企業274社、市外本社企業38社の全436社から回答を得た。
一部の大企業がけん引
今期の自社業況BSIはマイナス28・3(前期比4・8増)。12年4―6月以来の上昇となる。企業規模別では、大企業がマイナス8・7(前期比22・8増)、中小企業がマイナス35・8(前期比1・7増)と一部の大企業がけん引している形だ。
市経済局では、「国の経済政策を受けた円安により、輸出が好調な製造業、特に日産など自動車産業の業況感が大幅に上昇している。しかし、まだ中小企業の全体まで及んでいるとは言えない」と話す。特に、仕入れや原材料を輸入に頼る中小企業の状況は厳しい。市内で業務用機械の輸入業を営む社長は「今年に入ってコストが2割近く上がった。中小企業はそれを販売価格に転嫁できないので苦しい」と頭を抱える。
地域間で「実感」に差
非製造業で数値の上昇率が最も高かったのは「飲食店・宿泊業」。前回マイナス30・8から38・5ポイント上昇した。MM21にあるホテルは「円安の影響で特にアジア観光客の予約が増えた」という。中華街の飲食店は「人が増えたという実感はある」と話す。
一方で、市内中心街から遠い青葉区の飲食店は「地元のお客さんを相手にするため、業況が上向いているという実感は全くない。もっと個人消費が上がらないと」と市内でも感覚に差がある。市経済局は「調査では次期の数値も上がる見通しだが、全体へ波及するかはまだ分からない」と話す。
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