横浜市内の全世帯の3分の1にあたる約56万世帯が加入する国民健康保険の保険料計算式が今年度から変更された。これにより、所得金額がこれまでと変わらないのに、保険料が増える世帯が出ている。市は緩和措置を講じるが、制度変更に戸惑う加入者も見られる。
国民健康保険は自営業者や農業従事者らが加入する社会保険。保険料は加入者が等しく負担する「均等割額」と世帯の所得状況に応じて負担する「所得割額」を合わせたものになる。
保険料の計算式は自治体ごとに異なる。横浜市の所得割額は市民税額を基に計算していた。しかし、2011年の国の政令改正で、13年度までに所得割額は全国統一で所得金額を基にする「旧ただし書き方式」と呼ばれる計算式に変更されることが決まった。
市保険年金課によると、全国の9割以上の自治体が旧ただし書き方式で計算していたという。市民税額を基に計算していた理由を同課は「横浜は比較的所得が多い人の割合が大きく、加入者負担のバランスがとれていたため」と説明する。
市の試算では、旧ただし書き方式の場合、29%の世帯でこれまでより保険料が増加し、32%は減少するとしていた。所得控除を多く受けていた世帯は、保険料が増える可能性が大きい。
そのため、市は所得が33万円を超える非課税者や控除が多い人の所得金額を13年度は7割、14年度は4割減額して計算するなどの緩和措置を図った。試算では、対策を講じても、収入300万円の3人世帯の例では23万1千円だった保険料が26万3千円に上がる。
問い合わせ7千件超
市は4月下旬に加入全世帯に制度変更を知らせる文書を発送するなど、広報を続けてきた。2月から7月まではコールセンターを設置。5カ月間で約7300件の問い合わせを受けた。特に保険料が通知された6月中旬以降は「なぜ保険料が上がったのか」との声が多かったという。区役所にも同様の質問が殺到していたことから同課は「丁寧に説明できなかった部分もあり、反省している」という。
保険料通知書には、緩和措置がとられた旨が記されているが、分かりづらいという指摘も出ており、同課は「現状を分析して、今後に役立てたい」としている。
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