10年間に渡り蝶を観察した記録をまとめた「よこはまの蝶」を自費出版した 上村 文次さん 藤沢市在住 71歳
心高ぶる瞬間求めて
○…「希少種を見つけた時は上手く写真が撮れないほど心が高ぶっちゃう」。約10年をかけ新治市民の森や四季の森公園など横浜市内で観察した蝶の記録をまとめた一冊を出版した。「横浜は蝶の宝庫」と豪語する通り、県内で生息するといわれる約120種中75種を確認。宅地開発などによる緑地減少で「今後数は減ると思うけど、記録として残すことができた」と話す表情は達成感に満ちている。
○…榛名山の麓で生まれ育つ。「野山を駆けずり回っていた。山の木を切ってきて人一人が乗れる車を作って坂道で遊んだっけ」と幼少期を思い返す。大学進学を機に上京。友人の引っ越しを手伝った際に数えきれないほどの蝶の標本に衝撃を受け、羽の模様や色合いに魅了された。蝶の観察はその友人に誘われたことがきっかけとなった。
○…大学卒業後は横浜市の小学校教諭となり、休日を利用し、観察を続けていた。定年間際で3年生を担当した時、授業で校内の蝶の数を調べることに。結果は45種だったが、児童からの「横浜では何種類いるの」という質問がきっかけで市内の蝶の観察を思い立った。それから約10年。”蝶漬けの日々”が一つの形になった。現在は自然観察指導員としても活動中。自身が出版した冊子をきっかけに「多くの人が自然や蝶に出合ってもらえたら」と願う。
○…趣味を聞けば「動植物の観察もできるし山歩きかな」。現在は、自宅のある湘南地域の蝶を観察しており「冊子にまとめるにはあと2年位かなあ」とぽつり。自身の計画では次の冊子が完成した後、実家に戻るつもりだ。「畑で野菜でも育てながら暮らしたい。実は群馬は日本有数の蝶の生息地。その記録を集大成としてまとめられたら」と今後の夢を語る。
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