新年度にあたり、本紙では林文子横浜市長にインタビューを行った。任期が残り5カ月を切った林市長は進退についての明言を避けつつ、中期4か年計画の総仕上げや、子育て施策充実、インフラ整備など、将来を見据えた投資に意欲をみせた。
進退の明言避ける
今夏に実施される市長選への3選出馬については「今のところまったく白紙。まずは5月に迫ったアジア開発銀行(ADB)年次総会で、ホストシティとしてしっかり対応することに力を注ぎたい」と述べ、進退の明言を避けた。
総額1兆6459億円と過去最大だが、県費負担教職員の本市移管分を除くと実質は前年度比1・3%のマイナス編成となった一般会計予算。林市長は「市民のみなさまの安全・安心を守り、心豊かな生活を送っていただくために、議論を重ねて策定した」と総括し、その上で「子どもの貧困やいじめ対策など喫緊の課題から、高齢化により医療・福祉ニーズが増大する2025年問題、グローバル時代に向けた都心臨海部の再生まで、しっかり盛り込んだ予算だ」と将来も見据えたバランスの良い編成であることを強調した。
保育所3千人分整備
重点施策の一つである子育て・教育は、待機児童対策として保育所整備に力を入れ、「これまで川崎市と共同での保育所開設や、国家戦略特区を活用して反町公園(神奈川区)内の保育所整備等を行った。今年度は、新たに3042人分を整備する」と意欲を語った。
また、1月から全市立中学校で導入している「ハマ弁」については、「おいしいという声をいただいている一方で、喫食率は1%を下回っている」と課題を述べ、対策として保護者向けの試食会の実施や、スマートフォンで注文できるアプリの開発など、利用促進に向けた取り組みを進めるとした。
いじめ防止へ専門職増
東京電力福島第一原発事故で横浜市に自主避難した生徒がいじめを受けた問題を踏まえ、今年度から新たにチーフスクールソーシャルワーカー(SSW)を4人配置するなど、再発防止策を強化する。さらに、「私が議長を務める市の総合教育会議でも、防止策が実際に機能しているかについて常に検証していく」とし、いじめの早期発見、解決に取り組む決意を語った。
インフラ網を強化
インフラ整備にも力を入れることを明言。山下ふ頭の再開発、客船の寄港誘致を含めた港湾機能の強化、8月に着工する新市庁舎の整備、横浜市営地下鉄ブルーラインの新百合ヶ丘への延伸調査などの事業を推進するほか、横浜港と東名高速の物流網や災害時の緊急輸送路として期待される横浜環状北西線については、「20年の東京五輪・パラリンピックまでに間に合わせたい」と述べ、将来に向けた基盤づくりへの投資を強化する方針を示した。
カジノ誘致判断留保
市長選での争点化も想定されるカジノを含むIR(統合型リゾート)については、現時点で市として誘致を決定していないと説明。「IR推進法の国会審議の中で、ギャンブル依存症の課題が大きくクローズアップされた。これは非常に重要な問題だ。まずは国の動向を見極めながら依存症対策を調査・研究する必要がある」と述べるにとどめ、カジノに対する市民感情に配慮する姿勢をみせた。
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