生かせない過去の教訓 中原区町内会連絡協議会会長 長瀬 政義
わが国地震観測史上最大の規模を記録し、日本列島の広い範囲に被害を与えた「3・11」から1年。被災地の復興状況を見るとまだ論評する時期には来ていないが、過去の震災の教訓を生かせていないのが現状だ。
地震列島のわが国では「安政・江戸地震」以来マグニチュード7級以上が7回も発生しており、各々復興に示唆を残している。関東大震災は都市計画の理想を示した。陣頭指揮を執った故・後藤新平は、昭和通や地下鉄を整備し「世界の東京」を残した。阪神・淡路大震災では低層密集住宅地の倒壊と下敷き者の救出、更に火災の同時多発から「72時間が命の限界点」と教え、「行動するボランティア」が登場した。新潟中越地震では「スーパーレスキュー隊」の養成を認識させた。
東日本大震災は、地震・津波・原子力発電所の事故と三重災害だが、原発事故だけは人災である。天災に対する今後の課題は「人災を重ねない」防災対策の構築であり、企業・団体・行政が一丸となって推進することである。現在、中原区では高層の再開発ビルが目立っているが、低層木造住宅が密集している地域も多い。整備の不十分な道路網や避難所の運営では組織的訓練も重要な課題になる。
5月3日
4月26日