地域に根差した文化財を新たに顕彰する川崎市地域文化財の第3回選定結果が先月25日に発表され、市内で28件、中原区からは下小田中の「内藤家文書」と「柳原の地蔵尊像群」が選ばれた。第1回からの総計数は159件。区内では31件。
地蔵尊群は、6丁目の駐車場の一角に安置されている。4基のうち、1902(明治35)年に作られたものが最も古いとされる。1基は「子育て地蔵」と呼ばれ、かつては子どもが産まれる度に近隣住民が参りに来ていたという。現在では、19軒で成る「講中(こうじゅう)」が彼岸明けに地蔵の前で念仏を唱え、古くからの風習を伝承している。
内藤家に伝わる古文書からは、土地の所有権を記すために明治政府が発行した「地券」が見つかった。市担当者によると、下小田中一帯は第二次世界大戦時の空襲で古文書の多くが焼失した。そうした中、明治期の記録を今に伝える史料として価値があるという。
2018年度から市が選定する地域文化財は、未指定の貴重な文化財を幅広く記録しようと市内の寺社や団体、施設などから募集。第3回は昨年4月から6月の推薦期間を経て決定した。