昨年11月に行われた神奈川県中学生ハンドボール新人大会で、西中原中学校・男子が3年連続7度目のV、宮内中学校・女子が初優勝を飾り、今年3月に富山県で開催される全国の舞台に挑む。法政二高(木月大町)も強豪校として名を馳せており、「ハンドボールのまち」として中原区が改めて注目を集めている。
選手たちの原点ともいえるのが、「川崎ハンドボールアカデミー」と「大戸チビハン」だ。西中原中の部員の約9割がアカデミー出身で、宮内中もメンバー12人のうち半数が小学生の頃にチビハンを経験。着実に成長し結果につなげている。
ドッジボールの受け皿に
2019年、ハンドボールの普及を目指す地元有志らが立ち上げたアカデミー。「男子の大会は低学年まで」という条件がある地元子ども会のドッジボール競技の受け皿にもなっており、高学年を中心に現在約40人が所属。毎週土日、1日3時間、新城小校庭などで練習に励んでいる。アカデミーのコーチとして指導する迫(はざま)佳樹さん(43)は競技の魅力について、「走って、飛んで、投げて、接触プレーも全て体験できるスポーツは他にない。どんなスポーツにもいかせる」と話す。県内には同様のクラブチームが約10団体あるが、中でもレベルは高い方だ。
敵から仲間へ
35年以上の歴史があるチビハンは、大戸地区にある子ども会のドッジボールが休止する12月から2月にかけて活動。1〜6年生まで約70人が冬場のスポーツとして汗を流す。ハンドボールの技術よりも、競技の楽しさや交流を深めることが主なテーマ。チビハン2期生で、娘も西中原中ハンドボール部員というコーチの森由佳子さん(49)は、「小学校が別で、子ども会のドッジボールでは敵対関係にあっても、チビハンに入れば仲間。そこから家族ぐるみの交流が生まれたり、顔見知りになることで地域の防犯につながっている面もある」と笑顔を見せる。
課題は「室内練習」
昨年12月17日、新城小の校庭で練習に励んだ両チーム。アカデミー1期生で、県選抜メンバーの西中原中3年・大平壮琉さんも、後輩を指導するため練習に参加。大平さんは「スピードもパワーも身に付くし、動き方には頭も使う」とハンドボールの醍醐味を伝え、一学年下の宮内中の快挙には「昨年から強かった。ぜひ全国で中原区・宮内中の名をとどろかせて」とエールを送る。
活動の輪が広がる一方で、課題は室内練習場所の確保だ。屋外で公式球を使うとすぐに傷んでしまうため、素材が異なるボールを使用。しかし、子どもにとって感覚がつかみづらく、試合で影響が出ることも。学校体育館の利用も限られ、「より実践に近い形でプレーさせたい」と願う。受け継がれてきた地域の伝統と絆を胸に、次の世代へとボールをつなぐ。
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