絵本作家かこさとしさん(88)の講演会がこのほど、中原市民館で開かれた。講演は「川崎の思い出―1950年代のセツルメント活動と子どもたち―」と題され、かこさんが1950年代に暮らした幸区古市場で、子どもたちと触れ合った思い出を語った。
当日はファンや市民など約300人が訪れ、壇上に元気な姿のかこさんが登場すると大きな拍手が送られた。かこさんは手書きの資料を作成し持参、それを基に当時の思い出を語った。
子ども会では主に紙芝居を披露し、幻灯会では大勢の子どもたちが集まったという。さらに、運動会では鹿島田などから大勢の子どもたちが参加したという逸話も披露した。「子どもたちは向上しようとしながら遊んでいた。子どもたちから教わることは多かった」と当時を振り返った。
かこさんは56年から約14年間、川崎市幸区に居住。民間企業に勤務するかたわら、休日はセツルメント活動(貧困地区での生活向上と自立を助ける社会事業)に尽力。自作の紙芝居などを披露し、子どもたちを楽しませていた。その後、紙芝居から絵本が誕生するなど、川崎市での生活は絵本作りの原点となり、「からすのパンやさん」「だるまちゃん」シリーズなどの人気作品を輩出している。